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環境マネジメント

マネジメント情報

考え方

近年、地球温暖化などの気候変動に伴う地球規模の環境問題が深刻化し、人々の暮らしや企業の事業活動に影響を与えています。特に、激化している気候変動による異常気象の多発や生物多様性の喪失は、不二製油グループ製品の主原料である農産物の安定的な調達を妨げる、経営上の脅威となりつつあります。よって事業活動に地球環境への配慮を組み込むことは今や経営の必須条件と考えています。当社グループは、2015年に環境基本方針※1を定め、2018年策定の「環境ビジョン2030」では、グループ全体のCO2排出量・水使用量・廃棄物量の削減コミットメントを表明し、環境への取り組みを加速させました。CO2排出量では、Science Based Targets※2に認証された削減目標を掲げています。
また、気候変動が事業に及ぼす影響を把握しステークホルダーの皆様にタイムリーに情報開示することが重要であると認識しています。2019年5月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に対する賛同を表明し、TCFDの提言に基づき、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目について、積極的な情報開示を推進しています。

推進体制

不二製油グループ本社ESG部門長の管掌のもと、サステナビリティ推進グループがグループ全体の環境マネジメントを推進しています。また、取締役会諮問機関であるサステナビリティ委員会において進捗や成果を確認しています。

目標・実績

環境ビジョン2030

  2030年目標※1 2022年度実績※1 達成率
CO2排出量の削減 スコープ1※2+2※3 総量40%削減(グループ全体) 26%削減 65%
スコープ3※4(カテゴリ1※5)総量18%削減(グループ全体※6 12%増加 未達成
水使用量の削減 原単位※7で20%削減(グループ全体) 27%削減 135%
廃棄物量の削減 原単位※8で10%削減(グループ全体※9 4.7%削減 47%
資源リサイクル 再資源化率99.8%以上を維持(国内グループ会社) 99.69% 未達成
  • ※1 基準年:2016年。
  • ※2 スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。
  • ※3 スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
  • ※4 スコープ3:事業者の活動に関する他社の排出(カテゴリ1~15)。
  • ※5 カテゴリ1:購入した製品・サービス。
  • ※6 インダストリアル フード サービシズ(オーストラリア)、フジオイル ニューオリンズ(米国)は除く。
  • ※7 生産量当たりの水使用量。
  • ※8 生産量当たりの廃棄物量。
  • ※9 廃棄物量は、インダストリアル フード サービシズ(オーストラリア)は除く。

考察

CO2排出量(スコープ1+2)の削減

前年度の21%削減に対し、2022年度は26%削減となり、5ポイント好転しました。目標の40%削減に対しては、達成率65%となりました。生産量が対前年度で減少したことや、各社の削減活動が寄与しCO2排出量は減少しました。国内では、不二製油(株)で2021年度に実施した蒸気ロス診断結果をもとに現場改善や生産性改善活動を実施しました。また、事業拠点の電力をCO2フリー電力に切り替えることにより不二製油(株)関東工場と不二つくばフーズ(株)でのスコープ2のCO2排出量がゼロになりました。海外では各社で節電や設備保全などによる省エネ活動を行い、不二製油(張家港)有限公司(中国)では太陽光発電を導入しました。

CO2排出量(スコープ3カテゴリ1)の削減

前年度の15%増加に対して、2022年度は12%増加となり、3ポイント好転しました。目標の18%削減に対しては、達成率0%となりました。対基準年で生産量が15%増加しており、それに伴いスコープ3カテゴリ1の排出量も増加しました。引き続き、サプライヤーへのエンゲージメントを進め、原材料などによるCO2排出量削減に努めます。

水使用量(原単位)の削減

前年度の25%削減に対し、2022年度は27%削減となり、2ポイント好転しました。目標の20%削減に対しては、達成率135%となりました。生産量の減少を受けて、対前年度で水使用量は減少しました。国内では、生産設備の洗浄方法の見直しによる洗浄水の削減が、海外では、生産設備の洗浄回数の見直しや漏水対策などが、水使用量の削減にそれぞれ寄与しました。

廃棄物量(原単位)の削減

前年度の6.1%削減に対し、2022年度は4.7%削減となり、1.4ポイント悪化しました。目標の10%削減に対しては、達成率47%となりました。国内では、不二製油(株)の脱水機の新規導入によるスカム汚泥の削減や、有価引取物への移管が削減に貢献しました。海外では、グループ会社の削減活動が進みましたが、生産トラブルにより廃棄物量が増加したことも影響し、対前年度で廃棄物量原単位が増加しました。継続的に意識啓発に努め、グループ全体で廃棄物削減活動を推進していきます。

資源リサイクル

前年度の99.47%に対し、2022年度は99.69%となり、0.22ポイント好転しました。目標の99.8%以上に対しては、未達成となりました。引き続き廃棄物の分別を徹底することで、再資源化を推進していきます。

TCFDへの対応

不二製油グループは、2019年5月にTCFD(気候関連財務情報タスクフォース)へ賛同を表明しています。TCFDの提言に基づき、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目について、積極的に情報開示を推進しています。

TCFDの提言に基づく情報開示

ガバナンス

ESG担当役員の管掌のもと、全社的に重要なリスクを管理する全社リスクマネジメント体制において気候変動リスク・機会を管理しています。TCFDの提言に基づくシナリオ分析を実施し、分析内容は経営会議、取締役会において報告・承認されています(年1回以上)。

戦略

2019年度に国内主要グループ会社1社、2020年度に海外主要グループ会社8社を対象に、TCFDが提言する気候変動のシナリオ分析を実施し、気候変動リスク・機会の選定、財務インパクトの定性評価を行いました。また2022年度は気候変動への積極的な介入を目的として、気候変動のシナリオ分析を2℃/4℃シナリオから1.5℃/4℃シナリオに変更して実施し、財務インパクトの定量評価※1を行いました。省エネ活動のさらなる進化や再エネ利用促進などにより、不二製油グループの「環境ビジョン2030※2」に基づく継続的なCO2排出削減対策を推進していきます。他方、森林の農地転用や家畜肥育に伴う気候変動への悪影響が懸念されることから、当社グループが強みを持つPlant-Based Food(植物性食品)の市場拡大が見込まれています。当社グループはサステナブル調達の推進による環境保全への配慮、植物性食品素材の提供によって、脱炭素社会における社会課題の解決に取り組みます。

  • ※1 詳細については、「不二製油グループにおける気候変動リスク・機会および財務インパクトの影響度評価」をご参照ください。
  • ※2 詳細は「環境ビジョン2030」をご参照ください。

リスク管理

経営陣が認識するリスク、マテリアリティマップ、各グループ会社のリスクマップなど、グループを取り巻く環境を踏まえた情報ソースから、経営への影響度、発生可能性、顕在化時期などの総合的な判断により、気候変動リスクを含む全社重要リスクを選定しています。その対応策の立案、実施、進捗確認、評価・改善などを行うことで、経営会議で全社重要リスクを管理する全社リスクマネジメント体制を構築しています。気候変動リスクも全社重要リスクの一つと位置付けており、全社リスクマネジメント体制で管理を行い、検討・対応内容は年に1回以上取締役会に報告されます。

指標と目標

不二製油グループは「環境ビジョン2030」において、2030年にスコープ1、2のCO2の排出量を総量で2016年比40%削減することを掲げています。今後、同ビジョンの目標達成に向け、生産現場での省エネ活動やエネルギー使用量の少ない新設備の導入、再生可能エネルギーの使用などへ積極的に取り組みます。
スコープ3※1の排出量が多いカテゴリ1※2削減活動としてサプライヤーのCO2削減活動の取り組み状況に関するアンケート調査票を作成し、ヨーロッパの生産拠点のサプライヤー数社に対してエンゲージメント活動の手続きを開始しました。当社グループにおけるCO2排出量の削減をさらに推進していきます。

2030年CO2排出量削減目標(基準年:2016年)

  • スコープ1※3+2※4:40%削減
  • スコープ3(カテゴリ1):18%削減

削減活動の推進を目的としてインターナルカーボンプライシング制度※5を活用すべく、世界の炭素税価格や炭素取引価格(ETS)を参考に検討を行いました。不二製油(株)では2022年度からトライアル導入し、2023年度からCO21トン当たり1万円として本格導入することとなりました。今後、投資判断の参考情報として活用していきます。また、海外グループ会社へのトライアル導入も進めます。

  • ※1 スコープ3:事業者の活動に関する他社の排出(カテゴリ1~15)。
  • ※2 カテゴリ1:購入した製品・サービス。
  • ※3 スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。
  • ※4 スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
  • ※5 企業内部で見積もる炭素の価格であり、企業の低炭素投資・対策を推進する仕組み。

不二製油グループにおける気候変動リスク・機会および財務インパクトの影響度評価

影響度について

大・中・小の影響度は、不二製油グループにおける現在のポートフォリオ、財務状況、業績等に基づき、ある条件下の試算により予測される2050年頃の財務インパクトについて言及したものです。財務インパクトの評価はこの影響度を基準として行っていますが、変動する場合があります。
大:利益への影響額が100億円以上となる可能性がある
中:利益への影響額が20億円以上~100億円未満となる可能性がある
小:利益への影響額が20億円未満となる可能性がある

〈リスク〉

  • ※1 「環境規制対応コストの増加リスク」における財務インパクト「炭素税導入によるコストの増加」の影響度は、2030年頃を想定したものであり、「IEA」、「IPCC」などによる各国炭素税見込額と当社グループのCO2排出見込量より算出。
  • ※2 スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。
  • ※3 スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
  • ※4 スコープ3:事業者の活動に関する他社の排出(カテゴリ1~15)。
  • ※5 カテゴリ1:購入した製品・サービス。
  • ※6 企業内部で見積もる炭素の価格であり、企業の低炭素投資・対策を推進する仕組み。

〈機会〉

  • ※1 PBF(Plant-Based Food:植物性食品)。
  • ※2 One Health:生態系の健康、そして動物の健康を守ることが、人の健康を守ることでもあるという事実を認識し、人、動物、生態系、3つの健康を一つと考え、守っていこうという概念。

具体的な取り組み

環境監査

不二製油グループでは、環境マネジメントの国際規格であるISO14001などを参照、準拠して、グループ全体の環境保全活動の推進、改善、向上を図っています。
認証取得事業所では「外部審査」による検証、安全・品質・環境の「内部監査」を毎年実施しており、海外事業所では不二製油グループ本社による「安全品質環境監査」を実施して、検証、評価して改善を促すことでグループ全体のレベルアップを図っています。
国内グループ会社のうち不二製油(株)では、ISO14001に基づく「外部審査」を毎年(1、2年目:維持(サーベイランス)審査、3年目:更新審査)受審することに加えて、各グループ会社の生産管理向上を目的に、認証取得している事業所に対して、安全・品質・環境の「内部監査」を毎年実施しています。2022年度の「外部審査」および「内部監査」のいずれにおいても、環境関連の不適合に関する指摘はありませんでした。
「内部監査」では、環境関連法規制および環境規程に基づく活動状況の確認にとどまらず、なぜそれが重要なのかを説明しながら進めています。監査を通じて各グループ会社の取り組みを検証、評価し、改善すべき点を助言することにより、環境保全活動の推進、改善、向上を図っています。
海外グループ会社では、品質・安全の専門知識を有する戦略立案組織である不二製油グループ本社の生産性推進グループと、サステナビリティ推進グループが安全品質環境監査を実施しており、各グループ会社の取り組みを検証、評価し、改善すべき点を助言し、グループ全体のレベルアップを図っています。2022年度は生産拠点7ヵ所に対して実施しました。

海外グループ会社での監査(フジオイル タイランド)

マネジメント認証の取得

教育

不二製油グループ本社のサステナビリティ推進グループが、生産性推進グループとともに定期的に海外グループ会社を訪問し、関連部署の責任者および担当者に対して安全・品質・環境に関する教育や啓発活動を実施しています。2022年度は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、オンライン会議を併用して「環境ビジョン2030」などの説明や意見交換会を行いました。2022年度は海外グループ会社の生産拠点7ヵ所を対象に活動を実施しました。この活動は3~4年で全拠点を一巡する計画で実施しています。

環境に関する違反および措置

2022年度は、不二製油グループにおいて環境分野に関する法令などの重大な違反はありませんでした。

社会からの評価

  • CDP投資家質問書2022 水セキュリティ・森林にて「Aリスト企業」、気候変動にて「A-」評価獲得
  • CDP投資家質問書2022 サプライヤー・エンゲージメント・リーダーに選定
  • Nikkei Asia、英フィナンシャル・タイムズ、独調査会社スタティスタ共同「アジア太平洋地域気候変動リーダー企業」調査にて上位200に選出

関連資料