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環境マネジメント

気候・自然関連インパクト、リスク・機会の管理GRI:2-24, 27、3-3、101-1, 4、201-2

TCFD(気候) TNFD(自然) 関連ページ
方針 不二製油グループは、2015年に「環境基本方針」を定め、2018年策定の「環境ビジョン2030」ではグループ全体のCO2排出量・水使用量・廃棄物量の削減目標を掲げ、環境への取り組みを加速させました。また、2023年3月に「不二製油グループ生物多様性方針」を策定し、生物多様性の保全と回復に向けた基本的な考え方と行動指針について公表しました。
ガバナンス

当社グループにおいて、気候や自然を含む環境・社会課題への対応は、不二製油グループ本社の取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会※1で審議・監督され、取締役会へ答申・報告されています。同委員会は最高経営責任者(CEO)を委員長とし、議決権を持つCxO(Chief X Officer)に加えて、その他の執行役員、事業部門長、社外取締役、ESGアドバイザーで構成され、年2回以上開催しています。ESGマテリアリティ※2である気候変動・水資源・サーキュラーエコノミー・生物多様性、サステナブル調達は、それぞれESG部門長、最高経営戦略責任者(CSO)管掌のもと部門横断的に対応しています。
同委員会の下部組織である全社重要リスク分科会においても、全社的な視点で気候変動および自然に関するリスク・機会について議論と管理を行い、経営会議および取締役会へ報告し、承認を受けています(年1回以上)。
また、サステナブルな食の未来の実現に向けて、先住民や社会的マイノリティ、地域コミュニティなど、当社グループの事業活動によって影響を与え得る人々には関連する各方針にしたがって対応し、ステークホルダーとの継続的な対話と協働の基盤づくりに努めています。

戦略
GRI:2-24

近年、激化する気候変動や生物多様性の喪失により、社会が依存しあらゆる経済の基盤となっている生態系サービスは減少し、世界的に悪化する自然環境は、企業の事業活動や人々の暮らしに影響を与えています。森林や土壌の劣化、生物多様性の喪失、水ストレスの高まり、異常気象の多発は、主原料である農産物の安定的な調達や製造を妨げる経営上の脅威となりつつあります。
当社グループの事業活動も、こうした自然や生態系サービスの恩恵を受けると同時に、原料生産、調達・輸送、製品加工などグローバル・バリューチェーンを通して、自然や生態系サービスに影響を与えています。また、気候や自然の変化が当社グループの事業活動にとってリスクおよび機会の両面で重要であることを認識しており、CO2排出量の削減や自然生態系の保全および自然資本の持続的な利用に取り組み、適切にリスク対応に努めています。同時にネイチャーポジティブ※1の概念を取り込み、自然環境に対して良い影響をもたらす技術や製品を開発し、事業機会を得ていきます。
ネガティブインパクトの低減およびポジティブインパクトの創出を目指し、ESGマテリアリティ※2をベースに各グループ会社のサステナビリティへの取り組みを加速させ、ステークホルダーとの共創を進めます。

  • ※1 自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させること。
  • ※2 気候変動、水資源、サーキュラーエコノミー、生物多様性、サステナブル調達、サステナブルな食資源の創造。

2019年度に、日本国内主要グループ会社1社、2020年度に海外主要グループ会社8社を対象に、TCFDが提言する気候変動のシナリオ分析を実施し、気候変動リスク・機会の選定、財務インパクトの定性評価を行いました。また2022年度は気候変動への積極的な介入を目的として、シナリオを2℃/4℃から1.5℃/4℃に変更して気候変動のシナリオ分析を実施し、財務インパクトの定量評価を行いました。

2022年度に、当社グループの全事業と生物多様性の関係性をバリューチェーンに沿って把握し、事業全体に関わる生物多様性課題※1を整理し、想定される自然関連リスク・機会を洗い出しリスト化しました。2023年度はTNFD推奨のLEAPアプローチ※2に基づき、当社グループの主原料であるパーム・カカオ調達国における自然・生態系サービスへの依存と影響について地理情報システム(GIS)を用いて各種指標で分析し、自然関連のリスク※3と機会※4を評価しました。なお、以下の観点からパーム・カカオを分析対象としました。

  • 2022年度に洗い出した生物多様性課題に多く関係していること
  • 当社グループの主力事業である植物性油脂および業務用チョコレートの主原料であること、かつトレーサビリティが進んでいること
  • Science Based Targets Network(SBTN)のHigh Impact Commodity Listにパームおよびカカオが該当していること
  • ※1 森林から農園への転換による生物生息地の減少、農地周辺の生態系への影響、気候変動、水資源など。
  • ※2 TNFDにより開発された自然との接点、自然との依存関係、インパクト、リスク、機会など、自然関連課題の評価のための統合的なアプローチ。
  • ※3 組織およびより広範な社会の自然への依存やインパクトから生じる、組織にもたらされる潜在的な脅威。
  • ※4 自然にプラスの影響を与えたり、マイナスの影響を軽減したりすることで、組織や自然にとってのプラスのアウトカムを生み出す活動。
リスク管理
GRI:2-27
当社グループは、経営会議を全社リスクマネジメント機関と位置づけています。経営会議では、経営陣の認識リスク、ESGマテリアリティ、オペレーショナルリスクなどグループを取り巻く情報ソースを活用して、経営への影響度、発生可能性、顕在化時期などの総合的な判断により全社重要リスクを選定し、リスク対応策の立案、実施、進捗確認、評価・改善などを通じてグループ全体のリスクを管理する「全社リスクマネジメント体制」を構築しています。
気候変動ならびに生物多様性を中心とした自然環境関連リスクも全社重要リスクに特定されており、それらの重要度評価、取り組み課題の優先順位づけ、対応策の立案・実行などは全社リスクマネジメントの中で管理され、年1回以上、取締役会に報告されています。
リスクと機会の評価
気候変動リスク・機会および財務インパクトの影響度評価については「不二製油グループにおける気候変動リスク・機会および財務インパクトの影響度評価」をご参照ください。 自然や生態系サービスへの依存と影響評価に基づき、当社グループが対応していく自然関連のリスクと機会を網羅的に抽出しました。「不二製油グループのバリューチェーン上の自然関連リスク・機会」をご参照ください。
環境監査
当社グループでは環境マネジメントの一環として、国際規格ISO14001などを参照または準拠し、グループ全体の環境保全活動を推進し改善および向上を図っています。認証取得事業所では「外部審査」による検証、安全・品質・環境の「内部監査」を毎年実施しており、海外事業所では不二製油グループ本社による「安全品質環境監査」を実施して、検証、評価して改善を促すことでグループ全体のレベルアップを図っています。
不二製油(株)では、ISO14001に基づく「外部審査」を毎年(1、2年目:維持(サーベイランス)審査、3年目:更新審査)受審することに加えて、日本国内各社の生産管理向上を目的に、認証取得している事業所に対して、安全・品質・環境の「内部監査」を毎年実施しています。2023年度の「外部審査」および「内部監査」のいずれにおいても、環境関連の不適合に関する指摘はありませんでした。
「内部監査」では、環境関連法規制および環境規程に基づく活動状況を確認するにとどまらず、なぜそれが重要なのかを説明し理解を深めています。監査を通じて各グループ会社の取り組みを検証・評価し、改善点を助言することで環境保全活動の推進・改善・向上を図っています。
海外グループ会社では、品質・安全の専門知識を有する戦略立案組織である不二製油グループ本社の生産性推進グループと、サステナビリティ推進グループが安全品質環境監査を実施しており、各グループ会社の取り組みを検証・評価し、改善すべき点を助言し、グループ全体のレベルアップを図っています。2023年度は当社グループ20ヵ所の生産拠点のうち7拠点を対象に環境監査を実施しました。
マネジメント認証の取得
教育
不二製油グループ本社のサステナビリティ推進グループと生産性推進グループ共同で、海外グループ会社の関連部署の責任者および担当者に対して、安全・品質・環境に関する教育を定期的に行っています。2023年度は7つの海外グループ会社の生産拠点を対象に啓発を実施しました。この活動は3~4年で全拠点を一巡する計画で実施しています。日本国内では、毎月発行の「環境エネルギー新聞」を社内掲示板や食堂モニターにて発信し、社員の意識向上を図っています。
環境に関する重大な違反および措置
2023年度は、不二製油グループにおいて環境分野に関する法令などの重大な違反はありませんでした。
指標と目標 環境ビジョン2030
2030年度目標※1 2023年度実績※1 達成率
CO2排出量の削減 スコープ1※2+2※3総量40%削減(グループ全体) 29%削減 73%
スコープ3※4(カテゴリ1※5)総量18%削減(グループ全体※6 27%増加 未達成
水使用量の削減 原単位※7で20%削減(グループ全体) 33%削減 166%
廃棄物量の削減 原単位※8で10%削減(グループ全体※9 15%削減 153%
資源リサイクル 再資源化率99.8%以上を維持(国内グループ会社) 99.85% 達成
  • ※1 基準年:2016年度。
  • ※2 スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。
  • ※3 スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
  • ※4 スコープ3:事業者の活動に関する他社の排出(カテゴリ1~15)。
    IDEA ver.3.3およびLULUC(土地利用/土地利用変化)係数を用いて2016年度・2022年度・2023年度の排出量を再算定。
  • ※5 カテゴリ1:購入した製品・サービス。
  • ※6 インダストリアル フード サービシズ(オーストラリア)、フジ ブランデンブルク(ドイツ)は除く。
  • ※7 生産量当たりの水使用量。
  • ※8 生産量当たりの廃棄物量。
  • ※9 インダストリアル フード サービシズ(オーストラリア)、フジ ブランデンブルク(ドイツ)は除く。
主原料生産国における自然目標
2030年度目標 2023年度実績(関連ページ)
森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ 農園までのトレーサビリティ(TTP):100%
森林再生 カカオ生産地における植樹100万本
森林破壊ゼロ、搾取ゼロ コミュニティレベルまでのトレーサビリティ確保、またはRTRS認証品もしくはRTRS認証に準じたその他認証品での調達率:100%
森林保全 シアカーネル生産地における植樹6,000本/年
  • ※ RTRS:Round Table on Responsible Soy Association(責任ある大豆に関する円卓会議)。
考察
CO2排出量(スコープ1+2)の削減
前年度の26%削減に対し、2023年度は29%削減となり、3ポイント好転しました。2030年度目標の40%削減に対しては、達成率73%となりました。日本の事業拠点ではCO2フリー電力への切り替えを進めており、購入電力の50%がCO2フリーになり、海外グループ各社でも節電や設備保全など省エネ活動を継続しています。
CO2排出量(スコープ3カテゴリ1)の削減
IDEA ver.3.3およびLULUC(土地利用/土地利用変化)係数を用いて2016年度・2022年度・2023年度の排出量を再算定した結果、2022年度実績は対基準年12%増加が30%増加、2023年度実績は対基準年27%増加となり、3ポイント好転しました。2030年度目標の18%削減に対しては達成率0%となりました。排出量削減に向け、国内外のサプライヤーに対しエンゲージメントを実施しました。
水使用量(原単位)の削減
前年度の27%削減に対し、2023年度は33%削減となり、6ポイント好転しました。2030年度目標の20%削減に対しては、達成度166%となりました。日本の生産ラインにおける水使用量最適化の見直しと、海外での水再生システムの改善や生産設備の洗浄回数の見直しなどが、水使用量の削減に寄与しました。
廃棄物量(原単位)の削減
前年度の5%削減に対し、2023年度は15%削減となり、10ポイント好転しました。目標の10%削減に対しては、達成率153%となりました。不二製油(株)では2020年度に導入した脱水機によるスカム汚泥の脱水率の改善が廃棄物削減に寄与しました。フジオイル ヨーロッパ(ベルギー)では廃白土を、フジオイル(シンガポール)では廃油をバイオ燃料の原料として有価物化したことで、廃棄物量を削減しました。
資源リサイクル
前年度の99.69%に対し、2023年度は99.85%となり、0.16ポイント好転しました。目標の99.8%以上を達成しました。引き続き廃棄物の分別を徹底し、再資源化を推進していきます。
森林再生と森林保護/森林保全
原料のトレーサビリティ確保や生産国における植樹については、こちらをご参照ください。
社会からの評価
  • CDP投資家質問書2023 森林・気候変動・水セキュリティにて「A-」評価獲得
  • The Financial TimesおよびStatista第2回共同調査「Asia-Pacific Climate Leaders 2023」にて選出

不二製油グループにおける気候変動リスク・機会および財務インパクトの影響度評価GRI:201-2

影響度について

大・中・小の影響度は、不二製油グループにおける現在のポートフォリオ、財務状況、業績等に基づき、ある条件下の試算により予測される2050年頃の財務インパクトについて言及したものです。財務インパクトの評価はこの影響度を基準として行っていますが、変動する場合があります。
大:利益への影響額が100億円以上となる可能性がある
中:利益への影響額が20億円以上~100億円未満となる可能性がある
小:利益への影響額が20億円未満となる可能性がある

〈リスク〉

  • ※1 IEA「Global Energy and Climate Model Documentation 2023」より2030年の各国炭素税データを引用(先進国:140USドル/トン、新興国:90USドル/トン)。
  • ※2 IEA「World Energy Outlook 2020」より2030年の各国炭素税データを引用(OECD加盟国:34USドル/トン、その他の国:未導入)。
  • ※3 スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。
  • ※4 スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
  • ※5 スコープ3:事業者の活動に関する他社の排出(カテゴリ1~15)。
  • ※6 カテゴリ1:購入した製品・サービス
  • ※7 企業内部で見積もる炭素の価格であり、企業の低炭素投資・対策を推進する仕組み。

〈機会〉

  • ※1 PBF(Plant-Based Food:植物性食品)。
  • ※2 One Health:生態系の健康、そして動物の健康を守ることが、人の健康を守ることでもあるという事実を認識し、人、動物、生態系、3つの健康を一つと考え、守っていこうという概念。

不二製油グループのバリューチェーン上の自然関連リスク・機会GRI:304-2

関連資料