水使用量の削減
マテリアリティ
水資源
方針
不二製油グループは、2015年に「環境基本方針」を策定しました。
ガバナンス
当社グループは、取締役会の諮問機関であり代表取締役社長 兼 CEOが委員長を務めるサステナビリティ委員会※1にて、ESGマテリアリティ※2「水資源」について、マルチステークホルダーの視点で審議・監督し、取締役会へ答申しています。また、ESG部門長管掌のもと、「環境ビジョン2030※3」達成に向け同重点項目「水使用量の削減」の取り組みを推進しています。
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※1 ガバナンス、戦略および指標と目標、リスク管理>ガバナンス
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/sustainability_management/
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※2 ガバナンス、戦略および指標と目標、リスク管理>戦略および指標と目標
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/sustainability_management/
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※3 環境マネジメント
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/environmental_management/
戦略GRI: 303-1, 2
地球温暖化による干ばつや洪水の増加は農作物の生産へ悪影響を与えるだけでなく、水資源問題を深刻化させ、世界の22億人が安全な水に安定的にアクセスできない状況です※1。世界人口の増加や気候変動の進行により、2050年に世界で50億人が水不足の状態に陥ると試算されています※2。農産物を主原料とし、製品の製造加工において水を使用している※3当社グループにとって、水資源の適切な管理は重要課題です。環境問題への対応に不備や遅れがあれば、事業活動が制限を受けるリスクが高まります。
当社グループは、「環境ビジョン2030」のもとグループ全体で水使用量の削減に取り組んでいます。水使用量原単位の削減目標を掲げ、事業拠点ごとの水リスクも評価し、適切な対策を講じています。取水や排水による負の影響を低減するため、各国や地域の規制や基準への遵守、あるいはそれらを上回る独自の指標のもと是正管理に努め、グループ一体となって目標達成を目指しています。
- ※1 JMP(ユニセフとWHOによる水と衛生に関する共同監査プログラム)報告書「飲み水と衛生の進歩と格差(2000年~2017年)」(2019)。
- ※2 WMO(世界気象機関)「地球気候の現状に関するWMO報告書」(2021)。
- ※3 総取水量、取水源別内訳、水リスクを伴う地域からの総取水量ほかはESGデータブック参照。
リスク管理GRI: 303-1, 2
当社グループでは、取水量・水質、風水害、排水規制違反など水資源に関するリスクを全社重要リスクの一つとして管理しており、各グループ会社が重要リスクの特定、対策の立案と実施、評価・改善などPDCA活動を展開しています。当社グループ拠点における水関連リスクについては、Aqueduct※1やリスクマップを参考にしながら、各グループ会社が立地する地域の水リスクを評価して対策を講じ、定期的にモニタリングしています。2023年度に実施したAqueduct分析結果では水ストレスの観点でベルギーがリスク高地域に該当しましたが、フジオイル ヨーロッパ(ベルギー)では運河水の工業用への利用や排水リサイクル利用など、適切な取水リスク低減を図っていることを再確認しました。また、中国グループ会社における排水規制違反リスクやインドネシアのグループ会社における洪水リスクを重要リスクとして認識しており、リスクの発生防止・リスク発生時の被害低減などを図るための対策を講じています。
また、原料生産に関わる水リスクについては、2023年度のパーム油およびカカオ生産国の自然関連リスク分析の中で、水ストレスや渇水リスク、水質浄化、洪水リスク、水質汚濁に関するリスクを評価しました※2。
- ※1 世界資源研究所(WRI)が発表した、水リスクを示した世界地図・情報を提供するツール。
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※2 生物多様性の保全と回復>具体的な取り組み>パームおよびカカオの自然関連リスク分析結果
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/biodiversity/
指標と目標
2030年度目標※1 | 2023年度実績※1 | 達成率 |
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原単位※2で20%削減(グループ全体) | 33%削減 | 166% |
- ※1 基準年:2016年度。
- ※2 生産量当たりの水使用量。
〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満
2023年度目標 | 2023年度実績 | 自己評価 |
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継続的な削減活動の推進および意識レベル向上 | グループ会社7社へ環境監査を通じた社内啓発を実施 | 〇 |
新たな水使用量削減目標策定の準備 | 水使用量に関する全社削減目標案を作成 | 〇 |
考察
水使用量原単位は、前年度の27%削減に対し、2023年度は33%削減となり、6ポイント好転しました。2030年度目標の20%削減に対して達成率は166%となりました。日本の生産ラインにおける水使用量最適化の見直しと、海外での水再生システムの改善や生産設備の洗浄回数の見直しなどが水使用量削減に寄与しました。環境マネジメントについては、環境監査を通じて改善を図り、節水や水資源効率の考え方などを共有しました。また、環境データ収集システムを導入し、各社の水データ収集と分析をタイムリーに行うことで、各社の削減レベル向上に取り組みました。
2023年度はグループ各社の実績や取り組み状況から、水使用量の全社削減目標案も作成しました。
年間水使用量と原単位推移
Next Step
各生産拠点の努力により、水削減目標を大きく超える成果を確認しました。貴重な水資源のさらなる有効活用に向け、2024年度は以下の目標に取り組みます。
- 新たな水削減目標の策定
- 継続的な水使用量削減活動の推進および従業員への意識啓発
具体的な取り組み
グループ会社における節水活動
2023年度の節水活動事例は以下のとおりです。
- 不二製油(株)阪南事業所では、タンパク生産ラインにおける水使用量の最適化を見直しました。
- フジオイル ヨーロッパ(ベルギー)では、運河水の利用や排水リサイクル率の向上により取水量を削減しました。
- 巴洛美巧克力製造(上海)有限公司とハラルド(ブラジル)では、水量メーターを増設して、取水量の管理を強化しました。
- 不二製油(肇慶)有限公司(中国)では、CIP※プログラムの改善により取水量を削減しました。
- フジ ベジタブル オイル(米国)、フジオイル(タイランド)ではフィルター処理水の再利用を推進しました。
- フジオイル(シンガポール)では、排水処理施設にウルトラフィルターや逆浸透フィルターなどの設備を導入しました。
- ※ Cleaning In Place(定置洗浄): 装置分解せずに内面を洗浄する自動化システムのこと。