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ESG担当役員メッセージ

社会課題の解決にグループ一体となって取り組み、
社会の持続的発展を目指します。

新型コロナウイルス(COVID-19)やウクライナをめぐる情勢など、新たな有事によって、物流の停滞や貧困の増加、人権侵害といった社会・経済の課題がこれまで以上に浮き彫りになっています。一方、世界規模で進行する気候危機に加え生物多様性の喪失への懸念が高まっています。いずれも、自然に依存する農水産業にとって大きな脅威といえます。こうした環境下において、人権や気候変動、生物多様性保全に配慮した食産業への転換は必至であり、それはいまや企業価値に直結する課題であると、私は認識しています。
不二製油グループは、サステナブルな食の未来の実現と企業価値向上を目指し、サステナビリティ経営を推進しています。ESGへの取り組みも、これまでのトップダウン型から、グループ全社活動へと深化させる第2ステージに入りました。

2022年4月からは取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会にCxOのみならずグローバルのエリア統括代表も加え、サステナブル活動を事業戦略およびエリア戦略と一体化させる体制を整えました。同委員会では、中長期的な観点に立ち、マルチステークホルダーの視点から新たな社会的・経済的価値創出を考えることを基本とし、ESGに関する重要課題のKPIを設定し、その達成に向けた活動を推進しています。サステナブルな食資源という観点では、動物性の肉や乳に代わる植物性タンパク素材の開発と、長年培った油脂とタンパク技術の融合によるおいしさ技術で、環境負荷が低く健康増進が期待できる植物性食品を進化させ、お客様や生活者の皆様にとっての食の選択肢の拡大に努めています。また、アップサイクルによるフードロスの削減にも努めており、2021年度は日本国内において、大豆たん白素材の加工工程で発生する大豆ホエイを原料とした土壌改良剤を上市しました。2022年度は、欧州市場向けに水溶性エンドウ多糖類を提供するなど、グループ協力体制のもと植物性機能素材の多角化も進めます。健康的な食についても、おいしさや満足感を維持しつつ糖質を低減できる食品の開発や、高齢者の心身の健康課題に関する研究を継続しており、世界各地で高まる健康志向にお応えしてまいります。

原料調達に関しては、2021年4月に不二製油グループサプライヤー行動規範を、6月にはパームとカカオに続き大豆およびシアカーネルに関する調達方針を策定すると同時に、それぞれの2025年、2030年に向けた中長期目標を設定しました。当社グループの原料調達に関する考えについて、サプライヤーやビジネスパートナーの皆様と対話を重ね、サプライチェーン上の環境や人権に関する課題解決に向けたエンゲージメントを強化し、2030年目標の達成を目指します。

気候変動への対応としては、CO2排出量・水使用量・廃棄物に関する環境データ収集システムの稼働開始や日本での社内カーボンプライシングの導入検討など、CO2排出削減に向けた活動環境を整備しました。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への対応については気候変動シナリオを見直すとともに、財務インパクトの定量評価を実施しました。なお、環境に配慮した種々の活動が認められ、2年連続で環境非営利団体CDPの気候変動・水セキュリティ・森林分野でトリプルAの評価をいただいています。2022年度からの新中期経営計画では「環境ビジョン2030」を見直し、1.5℃目標へ適合するCO2排出削減や、水の使用量に関する新たな目標を設定するとともに、カーボンニュートラルへ向けたロードマップも作成する予定です。また、生物多様性に関するグループ方針も策定し、環境対策への取り組みを加速します。

人材については、これまでのダイバーシティへの取り組みを進化させ、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)として活動を強化しています。現在は、海外グループ会社へのヒアリングを通じて、各地域や個社の歴史的背景やビジネス特性などによって異なる人材課題を特定したところです。2022年度からは、社内コミュケーションを深めながら改善施策を打ち出し、グローバル経営を支える人材の確保と育成、適正配置を進める所存です。

サステナブルな食の未来に向け、当社グループは、全従業員一丸となってバリューチェーン上の社会課題を機敏に捉え、ステークホルダーの皆様のご期待に応えるソリューションを提供し、新たな価値創造に取り組んでまいります。

不二製油グループ本社株式会社
取締役 上席執行役員 CTO兼ESG担当

門田 隆司