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シアカーネルのサステナブル調達

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サステナブル調達

マネジメント情報

事業活動との関わり

シアの木は、西アフリカのサハラ砂漠以南のサヘル地域に自生しています。シアの実から抽出されるシアバターは、不二製油グループの植物性油脂事業において重要な原料です。シアバターは、食品、製菓、スキンケアなどさまざまな用途に適した汎用性の高い油脂で、ココアバター相当品(CBE)として広く使用されています。シアカーネル(シアの種子中の胚)は、5月から6月にかけて、西アフリカの農村部の女性たちが採取し、一次加工(煮沸、脱殻、乾燥)も行っています。主な生産国は、ブルキナファソ、マリ、ガーナ、コートジボワール、ベナン、トーゴ、ナイジェリアです。

考え方

シアカーネルサプライチェーンの持続可能な開発方針として、「責任あるシアカーネル調達方針」を策定し、中長期目標とKPIを設定しました(2021年6月)。持続可能な未来のために、同方針のもと、以下3つのコミットメントを着実に実行していきます。

  • シアの木が生息する地域内の緑地保全:シアの木および固有種の苗木を毎年6,000本植樹
  • 農村の発展と環境へ配慮した取り組みの推進:シアカーネルに関わる女性のエンパワーメントや協同組合の生産能力向上
  • 地域における価値創造:オペレーションスキルや品質・安全に関する教育を含む雇用創出および地域内での分別による製品の高付加価値化

西アフリカに自生するシアの木

推進体制

最高経営戦略責任者(CSO)の管掌のもと、フジ オイル ガーナが本社事業部門と連携して推進しています。
3つのコミットメント実現に向けた推進プログラムとして、ガーナ北部の23の女性協同組合とともに、シアカーネルのサステナビリティ・プログラム「Tebma-Kandu」を2021年3月に立ち上げ、取り組みを進めています。本プログラムは、女性農家に対する事前融資や品質管理のトレーニングなどを行うもので、2023年には52の協同組合が参加を予定しており、着実に拡大しています。

目標・実績

〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満

中長期目標 KPI 2022年度目標 2022年度実績 自己評価
2030年 2025年 2023年
森林保全、
女性のエンパワーメント支援
植樹6,000本/年 植樹6,000本/年 植樹6,000本/年 植樹6,000本/年 植樹6,107本/年
Tebma-Kandu協同組合※1からの調達を含め、地域レベルまでのトレーサビリティ:75% 50% 50% 35% 93.3%
Tebma-Kandu協同組合からのシアカーネル直接調達比率:50% 30% 15% 10% 3.4% ×
西アフリカでのシアカーネル搾油・分別比率:100% 100% 100% 100% 100%
フジ オイル ガーナで使用する非化石エネルギー※2比率(蒸気発生用):100% 100% 100% 95% 100%
フジ オイル ガーナの正規雇用の社員数:50%増加(2017年比) 60%増加
  • ※1 Tebma-Kanduプログラムの登録協同組合。
  • ※2 シアカーネル搾油後の油粕(ミール)などを非化石燃料として使用。

考察

2022年度、提携先であるTebma-Kandu協同組合からの調達を含めた地域レベルまでのトレーサビリティは目標の35%から93.3%へと大きく向上しました。2022年度は作柄が非常に悪く流通量が限られたため、従前から取引関係のあるトレーサビリティが確保された納入業者からの購入が増加したことによります。
一方、Tebma-Kandu協同組合においてはトレーサビリティ100%であるものの、活動エリアの作柄が特に悪く、残念ながら当該協同組合からの直接調達比率は目標である10%には届きませんでした。しかし、同協同組合と密なコミュニケーションを取り、事前融資に関する女性農家の考え方、倉庫の効果的な管理方法、協同組合の管理方法など、今後の活動においてどのような点に重点を置くべきか、実りある洞察を得ました。多くの協同組合から組合運営に関して建設的な意見をいただき、取引交渉にも応じていただいています。不二製油グループの一貫した取り組みにより、本プログラムに対する信頼ならびに提携する協同組合のエンパワーメントは着実に高まっています。

Next Step

Tebma-Kandu協同組合に属する組合数を増やすことをサポートしていきます。フジ オイル ガーナは地域での存在感を高め、スタッフを増員し、より一層タイムリーなコミュニケーションを図っていきます。これにより女性組合員の考えや状況が把握でき、常に原料の購入意思があると示すことにもなります。さらに、外部のパートナーとの協力関係を強化し、個々の女性およびパートナー団体の両方に必要なトレーニングを行います。

  • 6,000本/年の植樹
  • 地域レベルまでのトレーサビリティ:2023年度末に50%
  • Tebma-Kandu協同組合からのシアカーネル直接調達比率15%

Tebma-Kandu女性協同組合との話し合いの様子

具体的な取り組み

責任あるシアカーネル調達方針達成のための課題解決アプローチ

社会課題 課題解決アプローチ 対象地域
地球環境 シアの木の生息域内の緑地保全 ガーナ
フジ オイル ガーナにおける非化石エネルギーへの転換による環境負荷低減 ガーナ
人権 地域における価値創造 ガーナ

シアの木の生息域内の緑地保全

ガーナ北部は、重機による開墾などが増加していることから、自生するシアの木は危機にさらされています。炭として利用するための伐採も増加しており、脅威となっています。
そこで2022年度は、現地で活動するEcoRestore(NGO)とともに、シアや固有種の苗木を6,107本植えました。同団体に対して、66,000本の苗を植えることができる苗床用の土地の提供も行いました。苗木の生存率を向上させるためには、適切な樹木栽培方法についてのトレーニングが重要であり、2023年度も植樹に加えてトレーニングも行う予定です。

苗木管理・研修の様子

エネルギー転換による環境負荷低減

フジ オイル ガーナは、シアバター生産過程で排出される搾油後の油粕(ミール)等副産物の一部を燃料に転換するなど、生産エネルギーを鉱物油から非化石燃料へ転換することで、シアカーネル処理時のCO2排出削減や廃棄物削減を推進しています。また、副産物の燃料利用は、薪の使用量削減による森林破壊の減少や節水、エネルギーコストの削減にもつながります。同社工場で使用する非化石エネルギー比率は100%となりました。

地域における価値創造

フジ オイル ガーナは、以前より、西アフリカでのシアカーネルとシアバターの加工生産を通して、現地従業員の工場稼働や品質管理・安全の教育を行い、地域の雇用創出と価値創出に取り組んでいます。
また、Tebma-Kanduプログラムでは、2022年時点で34の女性協同組合と覚書(MOU)を締結し、協同組合から品質と数量を担保したシアカーネルを調達するために倉庫建設の資金提供を行い、収穫期開始前には特別条件や制約のない事前融資を提供しています。このプログラムは、組合員の能力開発および森林再生プロジェクトが含まれます。本取り組みによって、ガーナ北部の約20,000名の女性農家に恩恵がもたらされ、シアカーネルに関わる女性のエンパワーメント推進と、協同組合の生産性向上につながっています。2023年度は、提携する女性協同組合数を52まで拡大する予定です。

外部団体との協業

フジ オイル ガーナは、2013年からGlobal Shea Alliance(GSA)、2015年からShea Network Ghanaに参画しています。これら団体の活動内容は以下のとおりです。

  • 収穫後のシアカーネルを保管する倉庫の提供
  • 女性のためのビジネス研修
  • 労働安全衛生イニシアチブ
  • 植林のための用具の開発
  • 緑地管理の研修
  • 緑地保全に関する試験的なプロジェクト