リスクマネジメントシステム
マテリアリティ
GRC
ガバナンス
不二製油グループは、取締役会の諮問機関であり代表取締役社長 兼 CEOが委員長を務めるサステナビリティ委員会※1にて、ESGマテリアリティ※2「GRC※3」について、マルチステークホルダーの視点で審議・監督し、取締役会へ答申しています。また、ESG部門長管掌のもと、同重点項目「リスクマネジメントシステム」の取り組みを推進しています。
また当社グループは、経営会議を全社リスクマネジメント機関と位置づけています。経営会議では、経営陣の認識リスク、ESGマテリアリティマップ、各エリアの統括会社・グループ各社でのリスクアセスメントに基づくリスクマップなどの多面的な情報ソースを活用して、全社重要リスクを選定し、リスク対応策の立案、実施、進捗確認、評価・改善などを通じてグループ全体のリスクを管理する「全社リスクマネジメント体制」を構築しています。これらの内容は、全社重要リスク分科会での検討・議論を経て、経営会議で全社として認識・対応すべき重要なリスクとして審議・特定し、モニタリング機関である取締役会に報告しています。
グループ各社特有のリスク対応としては、各社のリスクマネジメント委員会が中心となり、リスクアセスメントの実施を通じてリスクマップを作成し、それぞれのオペレーショナルリスクを特定しています。
上記で特定された全社重要リスクについて、各リスクの管掌責任者ならびに対応策を定めています。また、リスク管掌部門の推進責任者により、対応策の推進と全社重要リスクの見直し・選定を実施しています。これらは全社重要リスク管理の管掌責任者が、定期的に取締役会へ進捗報告を行います。取締役会はモニタリング機関として経営会議からの報告内容について確認を行います。
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※1 ガバナンス、戦略および指標と目標、リスク管理>ガバナンス
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/sustainability_management/
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※2 ガバナンス、戦略および指標と目標、リスク管理>戦略および指標と目標
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/sustainability_management/
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※3 GRC:ガバナンス・リスク・コンプライアンス。
戦略
当社グループは、植物性油脂、業務用チョコレート、乳化・発酵素材、大豆加工素材の4つの事業を日本・米州・欧州・東南アジア・中国において展開しています。そのため、当社グループのバリューチェーンは社会課題の変化、国際関係や経済環境の変化などの影響を多方面から受けており、さまざまなリスクが潜在しています。これらのリスクの認識や対応を怠った場合、事業活動への影響だけでなく、企業ブランドの低下などさまざまな影響を及ぼす恐れがあります。
管理すべき全社重要リスクとして12項目を選定し、リスクごとに管掌責任者を定めて対応計画を策定し、損失の回避と低減に努めています。また、対応状況は取締役会に報告し、モニタリングを実施する体制を構築しています。
2024年度全社重要リスク | |||
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リスク分類 | No. | リスクカテゴリー | |
戦略リスク | 1 | グループ会社経営 | |
2 | ビジネス転換・変革 | ||
財務リスク | 3 | 財務・税務 | |
災害・事故 | 4 | 災害・事故・感染症 | |
5 | 事業関連地域の地政学リスク | ||
オペレーショナルリスク | 製品 | 6 | 食品安全 |
環境・人権 | 7 | 環境・人権 | |
調達 | 8 | 原料相場 | |
9 | サプライチェーン | ||
法務・倫理 | 10 | 法規制・コンプライアンス | |
情報システム | 11 | 情報システム・セキュリティ | |
労務・人事 | 12 | 人材確保・育成 |
リスク管理
グループ会社のリスクマネジメント
PDCA
不二製油グループ本社、各エリアの統括会社、グループ会社の役割を明確にし、各社内にリスクマネジメント委員会を設置しています。各グループ会社で行われるリスクマネジメントに関しては、このリスクマネジメント委員会が主体となって、「リスクアセスメント⇒リスク対応⇒自己チェック⇒レベルアップ(次年度計画立案)」のPDCAを回し、不二製油グループ本社、各エリアの統括会社、グループ会社間で連携を取りながら、リスクマネジメントを推進しています。リスクアセスメントでは、自社のリスクを可能な限り洗い出し、リスクマップ(縦軸:自社への損失・影響度、横軸:発生可能性)により評価の上、自社にとって損失・影響度が大きいリスクを「重要リスク」として特定しています。全ての「重要リスク」に対して対応方法を決定し、リスク低減を図っています。
緊急時においては、平時のリスクマネジメント委員会を母体に「緊急対策本部」を立ち上げ、グループとして迅速かつ適切に対応できるシステムを構築しています。
各グループ会社におけるリスクマネジメント
BCP
近年、自然災害の多発、感染症の蔓延、戦争や紛争などの影響による地政学リスクの高まりなどにより、経済・社会活動の継続に支障を来す被害と影響が発生しています。これらの被害や影響発生時においても、日々の暮らしに欠かせない、人々の命に関わる食品を供給する企業として、事業を停止することなくお客様へ製品をお届けすることが不二製油グループの社会的責任であり、そのためにBCP(事業継続計画)は欠かせないものと考えています。従業員の安全確保および事業資産への損害を最小限にとどめ、中核事業の継続・早期復旧を可能とするため、以下基本方針のもとにBCPを策定し、対策に取り組んでいます。具体的には、自然災害対応については、グループ従業員の安否確認システムの導入、安否確認システムや緊急連絡網を活用した安否確認訓練、大規模地震を想定した防災訓練の定期的な実施、情報システムの継続性確保などの取り組みを行っています。また、さまざまな地政学リスクの影響を低減し、グループ全体のリスクへの抵抗力を高めるため、各エリアの統括会社・グループ会社からの最新情報をもとに関係部門が連携し、多面的な視点からリスクシナリオの構築と分析を行い、対策を講じています。これらの活動により、緊急時においても迅速かつ適切な初動対応を行い、従業員の安全確保と事業継続の両立、被害の最小化を図ることができるよう努めています。
BCP基本方針
- 従業員・来客の人命を最優先する。
- 二次災害を防止し、地域に迷惑をかけない。
- 企業としての供給責任を果たす。
教育・啓発活動
不二製油グループ本社は、各グループ会社への定期的な訪問やオンライン会議などにより、リスクマネジメントに関する教育・啓発活動を実施し、各グループ会社におけるリスクマネジメントのPDCAサイクルの定着と質の向上を図っています。
2023年度は、サプライチェーン分断リスクへの対策の強化、グループ会社へ毎年度実施しているリスクアセスメント手法の見直しおよびリスクアセスメントの定着に取り組みました。各エリアの統括会社、グループ各社におけるリスクをリスクアセスメントにより多面的に洗い出した上でマッピングし、当該グループ会社視点からのリスク認識レベルおよびリスク発現時の影響レベルを算出・可視化しています。その上で各エリアの統括会社・グループ会社のリスクマネジメントレベル向上を目的とした「リスクマネジメントコミュニケーションミーティング」をリモートと現地訪問で実施し、リスクアセスメント結果の共有および対策の推進を促しています。
また2023年度も継続して、新任の海外赴任者8名を対象に、リスクマネジメントの基礎、不二製油グループのリスクマネジメントシステムについての研修を行いました。これらの活動により、赴任先グループ会社のリスクマネジメントレベル、リスクに対する従業員の意識、感度の向上に努めています。
リスクマネジメントコミュニケーションミーティング(不二製油(肇慶)有限公司(中国))
指標と目標
〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満
2023年度目標 | 2023年度実績 | 自己評価 |
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当社グループにおけるリスクマネジメントの強化 |
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○ |
TCFD提言に基づいた、気候変動に関連する財務的な影響情報の適切な開示 |
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○ |
TNFDフレームワークに基づく、生物多様性に関連する適切な情報開示への準備 |
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○ |
考察
選定された全社重要リスク項目について、全社重要リスク分科会およびリスクアセスメントを活用した各エリアの統括会社・グループ会社とのリスクマネジメント会議を通じた議論および対策が推進され、不二製油グループ全体のリスクマネジメント強化につなげることができました。
TCFD情報開示は適切な情報収集および関係部門との議論を通じ、リスク・機会の項目ごとに各シナリオにおける発現時期、影響期間、影響度を具体的に記載しました。その結果、2023年度はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の国内株式運用機関が選ぶ「優れたTCFD開示」※1にて票を獲得するなど、開示情報の正確性、適時性、適切性が高く評価されています。
またTNFD情報開示は正式開示された提言に準じ多面的な情報収集を推進し、当社グループ事業における生物多様性課題について詳細な分析を行い、2024年度より開示を開始しました※2。
なお、全社重要リスク項目およびTCFD情報開示項目、TNFD情報開示項目は、管掌役員により適正に管理され、その状況は全社リスクマネジメント機関である経営会議、およびモニタリング機関である取締役会に適時報告・承認されています。
Next Step
リスクマネジメントシステムが機能し、リスクに強く、信頼され、社会になくてはならない企業となるためには、PDCA手法によるリスクの適正な管理と、その情報開示が重要であると認識しています。これら課題への対策として、以下の2024年度目標に取り組みます。
- 不二製油グループにおけるリスクマネジメントの強化
- TCFD提言に基づく気候変動関連の財務的な影響情報の適切な開示
- TNFD提言に基づく自然関連情報開示レベルの向上