大豆のサステナブル調達
マテリアリティ
サステナブル調達
方針
不二製油グループは、2021年6月に「責任ある大豆、大豆製品の調達方針」を策定しました。
ガバナンス
当社グループは、取締役会の諮問機関であり、代表取締役社長 兼 CEOが委員長を務めるサステナビリティ委員会※1で、ESGマテリアリティ※2「サステナブル調達」について、マルチステークホルダー視点で審議・監督し、取締役会へ答申しています。また、最高経営戦略責任者(CSO)の管掌のもと、同重点項目「大豆のサステナブル調達」の取り組みを推進しています。
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※1 ガバナンス、戦略および指標と目標、リスク管理>ガバナンス
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/sustainability_management/
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※2 ガバナンス、戦略および指標と目標、リスク管理>戦略および指標と目標
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/sustainability_management/
戦略GRI:2-6
大豆は、冷帯から熱帯まで幅広い地帯で栽培され、世界で最も広く使用されている食品原料の一つです。近年大豆を原材料とする大豆ミートや豆乳製品などは、世界人口が増え続ける中、地球規模で食課題を解決する食材の一つとして注目を浴びており、健康志向の拡大にも後押しされ、その重要性は高まっています。
当社グループは、大豆は将来の世界の食糧不足の解決策になり得ると考え、1957年以来、他社に先駆けて食品素材としての大豆の可能性を追求し、大豆ミートに代表される大豆加工素材事業を育ててきました。同事業の調達原料には、丸大豆のほか、油分を抜いた脱脂大豆やその加工品である大豆たん白など大豆由来の素材も含みます。また、植物性油脂事業でも一部(重量ベースで全体の数パーセント程度)大豆油を調達しています。
大豆の生産地では、森林や生態系の破壊、農薬散布による農園地域の土壌汚染などの環境問題に加え、一部の地域では先住民・コミュニティの権利侵害などの人権問題も生じており、経営課題であると認識しています。これら社会課題への対応を怠った場合、持続可能な原料の調達に影響を及ぼす恐れがあり、当社グループの社会的評価や収益が低下するリスクがあります。一方でこれらの課題への対応を進めることで、ステークホルダーからの信頼が向上し、新たな取引による収益の増加や企業価値の向上につながる機会となり得ます。
大豆製品へのニーズが増大する中、顧客からの期待に応えながら、同時に大豆の生産現場における社会課題も解決していくために、2021年6月に持続可能な大豆調達を実現するための中長期目標とKPIを設定しました。
人権と環境に配慮したサプライヤーから、責任ある方法で生産された大豆や大豆製品を調達するとともに、引き続き原料のサプライヤーとのエンゲージメントによりサプライチェーン上の問題の把握と解決に努めます。
不二製油グループが調達する大豆素材とその利用製品
素材 | 利用製品 | 主要産地 | |
---|---|---|---|
丸大豆 | 丸のままの大豆 | 大豆たん白食品 USS製法利用製品 |
北米、中国、日本 |
脱脂大豆 | 丸大豆から油分を抜いたもの | 大豆たん白素材の原料 | |
大豆たん白 | 脱脂大豆からタンパクを抽出した素材 | 大豆たん白食品 | |
大豆油 | 丸大豆から抽出した油分 | 大豆たん白食品 油脂製品 |
リスク管理
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サステナブル調達マネジメント>リスク管理
第一次集荷場所までのサプライチェーンの把握(対象地域:米国、カナダ、中国)
当社グループは、「責任ある大豆、大豆製品の調達方針」に基づいて各サプライヤーとの対応を進めています。
北米、中国産原料に関しては、生産農家から大豆を集荷・保管する第一次集荷場所までのサプライチェ―ンの把握を進めています。
サプライチェーン把握やトレーサビリティ向上の進捗状況は地域ごとに違いますが、サプライヤーとの協力のもと、調達におけるリスクをより具体的に把握しながら、改善を進めていきます。また2025年以降はさらに上流に位置するコミュニティレベルまで踏み込んだ追跡を進めていく計画です。
RTRS加盟による情報収集(対象地域:米国、カナダ、中国)
当社グループは、持続可能な大豆生産に関するグローバルなプラットフォームの一つであるRTRS※へ2020年に加盟し、RTRSからのサポートを受け情報を収集し、2021年6月に「責任ある大豆、大豆製品の調達方針」を策定しました。引き続き、大豆のサステナブル調達に関わるグローバルな動向についての情報収集を行います。
- ※ RTRS:Round Table on Responsible Soy Association(責任ある大豆に関する円卓会議)。
指標と目標
〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満
中長期目標 | KPI | 2023年度目標 | 2023年度実績 | 自己評価 | |
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2030年 | 2025年 | ||||
森林破壊ゼロ、 搾取ゼロ |
コミュニティレベルまでのトレーサビリティ確保、またはRTRS認証品もしくはRTRS認証に準じたその他認証品での調達率:100% | 第一次集荷場所までのトレーサビリティ確保、またはRTRS認証品もしくはRTRS認証に準じたその他認証品での調達率:100% | サプライヤーに対するセルフアセスメントの結果をもとに、サプライヤーとのエンゲージメント向上 | 北米・中国サプライヤーとの対話を促進し、トレーサビリティの状況を把握 | 〇 |
第一次集荷場所までのトレーサビリティ確保:80%以上 | 第一次集荷場所までのトレーサビリティ確保:83% | 〇 |
考察
2023年度はサプライヤーとの対話を通じて、トレーサビリティの状況把握を推進しました。北米においては、現状の課題や将来目指すべき方向性についての具体的な対話によりサプライヤーとの関係性を深め、サステナビリティの重要性を相互で認識しました。中国においては、サプライチェーン上流部のどこまでトレース可能かなど、より具体的に状況を把握できています。
Next Step
生産地の問題を把握するためにトレーサビリティの強化が重要です。この課題への対策として、以下の2024年度目標に取り組んでいきます。
- サプライヤーとの直接対話推進によるエンゲージメントの向上
- 第一次集荷場所までのトレーサビリティの確保:90%以上
具体的な取り組み
非遺伝子組み換え大豆の調達の堅持
大豆加工素材事業では、ステークホルダーからの要望に応えるために遺伝子組み換え大豆の調達は行っていません。調達先は、北米、中国、日本であり、その全てが非遺伝子組み換え大豆です。北米では、遺伝子組み換え大豆※と非遺伝子組み換え大豆がともに多く流通しているため、北米産大豆に関しては栽培、輸送および保管において厳しい分別管理を行っています。
中でも主要な調達先である中国では、遺伝子組み換え大豆の栽培は禁止されていますが、近年は大豆搾油用原料として海外産の遺伝子組み換え大豆が中国に輸入されており、年々、非遺伝子組み換え大豆を厳格に分別管理することの重要性が増してきています。中国産大豆の調達についてもグループで連携し、不二製油(株)で得た管理ノウハウを取り入れ、厳しい管理要求に継続的に対応しています。
- ※ 安定的に大豆を収穫するために、除草剤耐性などの機能を、遺伝子を組み換えることで付与した大豆。