カカオのサステナブル調達
マテリアリティ
サステナブル調達
方針
不二製油グループは、2018年8月に「責任あるカカオ豆調達方針」を策定しました。
ガバナンス
当社グループは、取締役会の諮問機関であり代表取締役社長 兼 CEOが委員長を務めるサステナビリティ委員会※1にて、ESGマテリアリティ※2「サステナブル調達」について、マルチステークホルダーの視点で審議・監督し、取締役会へ答申しています。また、最高経営戦略責任者(CSO)管掌のもと、同重点項目「カカオのサステナブル調達」の取り組みを推進しています。
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※1 ガバナンス、戦略および指標と目標、リスク管理>ガバナンス
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/sustainability_management/
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※2 ガバナンス、戦略および指標と目標、リスク管理>戦略および指標と目標
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/sustainability_management/
戦略GRI:2-6
当社グループの業務用チョコレート事業では、主原料として、カカオ豆・ココアリカー※1・ココアバター※2・ココアパウダー※3などのカカオ原料を購入し、チョコレート製品を製造しています。カカオの二大生産国であるコートジボワールとガーナでは、小規模農家が生産者の大半を占めており、貧困やそれに起因する子どもへの教育の課題、児童労働、低い農業生産性、森林破壊や気候変動の影響など複雑で相互に関連する社会・環境課題が生じています。これらの課題を改善するには、劣化した土壌の改善、女性のエンパワーメント、子どもの教育へのアクセス確保ならびに総合的な保護、さらに森林再生への取り組みなど多面的なアプローチが必要です。人権を尊重し、自然資源を保全し、農家を貧困から救い、カカオ生産の未来を確かなものにする強靭なカカオのサプライチェーンを構築することが、当社グループの役割と責任であると認識しています。
これらの課題に誠実に向き合うことを怠った場合、事業の中断や当社グループのレピュテーションが低下する恐れがあります。また、投資家の信頼や、顧客と消費者の信用を損ない、より持続可能なブランドへと需要がシフトして市場シェアの縮小につながり、当社グループの財務状況に影響を及ぼすリスクも高まります。一方で、これらの課題に積極的に取り組むことは、当社グループの業務効率を高め、既存の顧客との関係を強化し、新たな顧客との関係を築くのに役立つだけでなく、当社グループの取り組みをサステナビリティとイノベーションにつなげることにもなります。また、持続可能な方法で生産された製品によって新規市場と顧客を開拓し、高い競争優位性をもたらすことで、当社グループが業界のリーダーとして課題解決を牽引する機会となり得ます。リスクを回避するだけでなく、人権の尊重、自然資源の保全、カカオのサプライチェーンの充実などにより当社グループのブランドを強化すると同時に、社会にも前向きな変化をもたらし、人々の未来を確かなものにしていきます。
当社グループは、2020年に持続可能なカカオ豆調達の実現と進捗を把握するための中長期目標とKPIを設定しました。農家の所得向上や児童労働撤廃、森林再生、サプライチェーンの透明性およびトレーサビリティの向上に取り組んでいます。
- ※1 カカオ豆から外皮を取り除いて磨砕してできるペースト状のもの。
- ※2 カカオ豆を搾油して得られる植物油脂。
- ※3 カカオ豆からココアバターを搾油した後のものを粉砕し粉末状にしたもの。
リスク管理
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サステナブル調達マネジメント>リスク管理
トレーサビリティ
カカオのサプライチェーンにおける社会・環境課題に対処するためには、サプライチェーン全体のトレーサビリティを向上させることが重要です。当社グループの直接調達サプライチェーン※1では、サプライヤーと協力して、調達先の農園の境界線(ポリゴン)をマッピングしています。ポリゴンマッピングと呼ばれるこのプロセスは、保護地域に対するコンプライアンスを確立するための基礎となります。また、農園ポリゴンは、衛星画像を活用し、サプライチェーンに関連する森林破壊の評価に使用できます。
ブラマー チョコレート カンパニー(米国)(以下、ブラマー社)は、直接調達サプライチェーンの農家コミュニティの地図を、毎年ウェブサイトで開示しています※2。カカオ農家とその家族を視える化し、子どもたちを保護し児童労働を防止するために有用です。
コートジボワールで活動するブラマー社のサステナビリティチームは、プログラムの監督、実施、効果の確認、影響の評価において重要な役割を担っています。ブラマー社に原料を供給する農家グループは、認証機関または第三者監査機関による監査を毎年受けています。
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※1 直接調達サプライチェーン:農家や農協からカカオ豆を直接購入している、または仲介業者経由で産地が追跡可能なサプライチェーンのこと。
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※2 https://www.blommer.com/sustainability/strategy/traceability.php
児童の保護(対象地域:西アフリカ(ガーナ、コートジボワール))GRI:408-1
当社グループは、カカオ産業において重要な人権課題である児童労働の撤廃に向けて取り組んでいます。
カカオの主要生産国では、農家は貧困や児童労働、学校や保健所などの地域インフラの不足、作業者の不足、農業技術向上に投資する資本の不足などの課題に直面しており、それぞれ適切な対処が必要です。当社グループは、児童労働を防止するための環境整備と、サプライチェーン上で児童の権利侵害を是正する仕組みづくりに注力しています。
児童労働の根本的な原因を特定し、潜在的な違反行為に対する意識を高めるため、西アフリカでカカオの直接調達サプライチェーンに関わる全ての村でコミュニティエージェントと農家グループが協力して児童労働監視・是正システム(CLMRS)を構築しています。監視と是正措置を行うコミュニティエージェントは、児童保護に関する研修を受け、定期的に世帯調査を実施しています。当社グループは、リスクの高いコミュニティとコミュニティエージェントに焦点を当て、児童労働の危険にさらされている、あるいは児童労働に従事している子どもたちを特定し、その当事者世帯や当該コミュニティに対して行動計画を提案するとともに、剪定作業指導などのカカオ農家支援、VSLA※1による女性のエンパワーメントの促進、環境保全※2など、コミュニティにおける予防的取り組みも推奨しています。
また、カカオ産業のほかのステークホルダーと協力し、業界を挙げた取り組みも行っています。2022年に、当社グループは児童学習・教育施設(CLEF※3)と早期学習・栄養施設(ELAN※4)に参加しました。CLEFはカカオ栽培地域とそれ以外の地域で、500万人の子どもと1,000万人の親に手を差し伸べることを目標とする連合です。質の高い初等教育へのアクセスに焦点を当て、学校インフラの建設、効果的な教育実践のための教員研修、子どもの学習に親を参加させることに取り組んでいます。ELANイニシアチブは、5歳未満の子ども130万人とその養育者に、質の高いサービスと幼児期の発達と栄養に関する研修を提供することを目的としています。
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※1 「コミュニティ開発と女性のエンパワーメント」をご参照ください。
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※2 「森林の保全と再生」をご参照ください。
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※4 https://www.treccprogram.org/en/project/elan-early-learning-and-nutrition-facility/
CLMRSの仕組み
コミュニティ開発と女性のエンパワーメント(対象地域:西アフリカ(ガーナ、コートジボワール))
当社グループでは、サステナブル調達の実現にはカカオ農家だけでなく、生産地を含む地域社会のニーズを満たすことが重要と考え、学校や保健所、産科病院、安全な水へのアクセスなど、カカオ生産地域における社会インフラの整備を進めています。
カカオ生産地域とその家庭における食糧安全保障および栄養、教育、健康へのアクセスを確保する上で、女性は非常に大きな役割を果たしています。ガーナとコートジボワールの地域開発プロジェクトでは、女性の経済的機会を創出することにより、家庭やコミュニティでの女性の地位向上を目指しています。これらの取り組みの一環として、女性向け識字教育コースの提供とVSLA(貯蓄貸付組合)の設立があります。VSLAは、女性主体の自主運営グループで、既存または新規のマイクロビジネスへの投資、子どもの教育資金、IGA※の資金のために、メンバーに貯蓄や融資へのアクセスを提供しています。このような取り組みには影響力があり、同様のコンセプトの活動が広がり続けています。
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※ IGA:収入向上活動(Income Generation Activity)。
森林の保全と再生(対象地域:ガーナ、コートジボワールが主対象)GRI:304-3
当社グループは、カカオ農家と地域コミュニティの長期的な利益確保と、カーボンフットプリントの削減、森林破壊フリーのサプライチェーン、自然生態系の保全と回復を目指し、アグロフォレストリーに取り組んでいます。
サステナブル調達コミットメントでの目標設定
当社グループは森林破壊の影響を受けているカカオ生産地で、2030年までに100万本の植樹を行うことを約束しました。2020年以降、305,000本以上の苗木を配布しました。ガーナでは2020年から2022年にかけて160,000本の植樹を行いました。さらに2023年からはコートジボワールで、自然に基づく解決策を専門とするコートジボワールの企業AGRO-MAP社※1とのパートナーシップによる3年間のプロジェクトを開始しました。このパートナーシップにより、2023年にはブラマー社の直接調達サプライチェーンに145,000本以上の林木と果樹が植えられ、今後2年間で120,000本以上が植えられる予定です。このプロジェクトでは、カカオのアグロフォレストリーやコミュニティの森林再生を推進するとともに、IGAを通じてカカオ農家の所得を多様化することにも重点を置いています。さらに、気候変動の影響を受ける生産者やコミュニティのレジリエンスを強化し、炭素隔離や生物多様性の保護に貢献することを目指しています。
Cocoa and Forests Initiative(CFI)での森林破壊抑制
2017年より、ブラマー社はCocoa and Forests Initiative(CFI)に参加しています。36社の参加企業およびコートジボワールとガーナの両政府とともに、カカオのサプライチェーンにおける森林破壊をなくし、森林保護と回復を促進するために取り組んでいます。
2023年、ブラマー社は新たなコミットメント「CFI 2.0アクションプラン※2」を表明し、CFI 2.0を支援することを約束しました。第2期(CFI 2.0、2023~2025)は、優先順位の高いランドスケープにおける集団行動と、共同投資の構築を通じたインパクトの加速と拡大に焦点を当てる予定です。アクションプランでは、CFIの第1期で最もインパクトがあることが証明された解決策と、同期間中に得た森林破壊の抑制に貢献する革新的なツールや介入策を導入するための豊富な情報に焦点を当て、支援への意欲を詳述しています。
2018年以降、ブラマー社はCFIの一環として1,363,054本の緑陰樹を配布し、直接調達サプライチェーンの93%の農園区画をマッピングしました。
森林破壊リスクの評価と対策
2022年以降、当社グループは地理空間森林モニタリングの世界的リーダー企業であるSatelligence社※3と提携し、コートジボワール、ガーナ、エクアドルにおける森林破壊リスクの評価と対策に取り組んでいます。衛星画像を活用し、樹冠の変化、カカオ農園とその周辺における炭素の増減、森林破壊リスク評価、日陰のカカオ地域の特定、炭素隔離モニタリングなど、ランドスケープや農園レベルの知見を得ています。また、リアルタイムのリスク警告システムは、ブラマー社が森林破壊や森林劣化の要因に迅速に対処する能力を向上させています。2023年は、コートジボワール、ガーナ、エクアドル全体で110,000km2を超える地域をモニタリングしました。2022年から2023年のカカオのシーズンを通して、森林減少は見られませんでした。
世界カカオ財団(WCF)との森林破壊評価と炭素削減
2023年、ブラマー社は世界カカオ財団(WCF)※4およびほかのカカオ・チョコレート企業17社と協力し、サプライチェーンにおける森林破壊リスクを評価するための調和されたアプローチに取り組みました。このパートナーシップの主な目的は、WCF加盟企業がEUDR(欧州森林破壊防止規則)に準拠するために使用できる標準的な森林破壊評価手法を特定し、開発することです。最終的には、この手法はEUの管轄当局によって審査されることになります。
また、2023年にはWCF加盟企業と協力して、カカオの炭素会計を合理化するプロジェクトも実施しました。その結果、炭素削減と炭素回避介入に関する公式ガイダンスが発表されました。炭素会計の方法論や日陰でのカカオ管理などの炭素削減事例を含む本ガイダンスとSatelligence社のデータに基づき、ブラマー社はカカオのスコープ3排出量を更新し、スコープ3排出量削減目標を達成するため、気候への影響が低い農法を継続的に推進していきます。
認証カカオ原料の取り扱い
国際フェアトレード認証(Fairtrade)
以下のグループ会社では、開発途上国の小規模生産者・労働者の持続可能な開発を促進することを目指す国際フェアトレード認証を取得しています。これら2社では、顧客の要望に応じて、フェアトレード認証の原料を使用した製品を生産・販売しています。
- フジオイル ヨーロッパ(ベルギー)
- ブラマー チョコレート カンパニー(米国)
国際フェアトレード認証ラベル
Fair Trade USA
ブラマー チョコレート カンパニー(米国)は、フェアトレードUSAの認証を取得しています。
レインフォレスト・アライアンス認証
以下のグループ会社では、人と自然のより良い未来を創ることを目指す国際的な認証プログラムであるレインフォレスト・アライアンス※持続可能な農業基準のサプライチェーン要件に準拠しており、今後も顧客のより責任あるカカオ調達への要望に対応していきます。
- 不二製油(株)阪南事業所・関東工場
- インダストリアル フード サービシズ(オーストラリア)
- フレイアバディ インドタマ(インドネシア)
- フレイアバディ(タイランド)
- フジ グローバル チョコレート(M)(マレーシア)
- フジオイル ヨーロッパ(ベルギー)
- ハラルド(ブラジル)
- ブラマー チョコレート カンパニー(米国)
- 巴洛美巧克力製造(上海)有限公司(中国)
- 不二製油(張家港)有限公司(中国)
サステナブル・オリジン
サステナブル・オリジン※は、当社グループのサステナビリティ・プログラムです。
20年以上にわたり、サステナブル・オリジンは、農家と地域社会が繁栄し、人権が尊重され、自然が保護された、レジリエントなカカオ供給ネットワークを開発することにより、お客様が持続可能な成長を達成することを可能にしています。
プログラム実施会社
- 不二製油(株)
- ブラマー チョコレート カンパニー(米国)
「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」への参画
不二製油グループ本社は国際協力機構(JICA)が事務局を務める「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」※に参画しています。不二製油(株)では、同プラットフォームが発表した「児童労働の撤廃に向けたセクター別アクション」に賛同を表明しています。
指標と目標
〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満
中長期目標 | KPI | 2023年度目標 | 2023年度実績 | 自己評価 | |
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2030年 | 2025年 | ||||
植樹100万本※1 | 植樹100万本 | 植樹50万本 | 当社グループの直接調達サプライチェーン上での植樹13万本実施(コートジボワール) | コートジボワールの直接調達サプライチェーンで145,748本植樹 (累計:315,748本) |
〇 |
トレーサビリティと透明性の向上 | 当社グループのカカオ豆の直接調達サプライチェーンの拡大 | 当社グループのカカオ豆の73%を直接調達サプライチェーン(コートジボワール、ガーナ、エクアドル)から調達 | 〇 | ||
トレーサビリティの改善に向け、当社グループの直接調達サプライチェーン上の農園の90%のGPSマッピングの完了 | 直接調達サプライチェーン上の農園の93%についてマッピングを実施(コートジボワール、ガーナ、エクアドル) | 〇 | |||
農家支援と農園のレジリエンス向上 | 当社グループの直接調達サプライチェーンの農家へのGAP※3トレーニングまたはコーチングの提供 | GAPトレーニングプログラムに31,827名の農家が参加(コートジボワール、ガーナ、エクアドル) | 〇 | ||
アグロフォレストリーの推進 | 直接調達サプライチェーン上の91,391haにカカオのアグロフォレストリー開発を実施(コートジボワール、ガーナ) | 〇 | |||
CFIでのコミットメントの達成 | ブラマー社が直接または顧客の代理として、372,067本の多目的樹木を、農園内外での植樹用に配布(コートジボワール、ガーナ) | 〇 | |||
森林保全 | Satelligence提供のデータ活用によるサプライチェーンに関連する森林破壊の評価ならびに14万ha以上の土地の森林破壊リスク評価の実施 | 直接調達サプライチェーン上の139,394haに森林破壊リスク評価を完了(コートジボワール、ガーナ、エクアドル) | 〇 | ||
児童労働撤廃 | 児童労働撤廃 | 最悪の形態の児童労働※2ゼロ | 当社グループの直接調達サプライチェーン※4上の全ての農家グループで、児童労働監視・是正システム(CLMRS)の確立 | 当社グループの直接調達サプライチェーン上の農家グループの100%をCLMRSにてカバー(コートジボワール、ガーナ) | 〇 |
効果的で持続可能な児童保護と人権デュー・ディリジェンス(HRDD)システムを導入し、直接調達サプライチェーン上の90%以上の農家の児童労働の評価・対処 | 児童労働を評価・対処する効果的で持続可能な児童保護とHRDDシステムにて、直接調達サプライチェーン上の60%の農家をカバー(コートジボワール、ガーナ) | △ | |||
当社グループの直接調達サプライチェーン上の173のコミュニティにおいて女性のエンパワーメント支援の実施(コートジボワール、ガーナ、エクアドル) | 90以上のコミュニティが、女性のエンパワーメントを支援するコミュニティ開発活動の恩恵を受けた(コートジボワール、ガーナ) | × |
- ※1 多種多様な緑陰樹の苗木を2021年から2030年までの10年間で100万本植樹予定。
- ※2 最悪の形態の児童労働:Worst Forms of Child Labour(WFCL)。ILO(国際労働機関)第182号条約「最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約」により、子どもの安全、健康、道徳を害するおそれのある危険有害労働を禁止している。人身取引、債務労働、強制労働、児童買春、および児童ポルノ、犯罪など不正な活動、武力紛争での子どもの使用が含まれる。
- ※3 GAP:Good Agricultural Practices(農業生産工程管理)。
- ※4 対象は西アフリカ。
考察
2018年8月に策定した「責任あるカカオ豆調達方針」を実現するために、2020年6月にKPIを設定し、今後10年間の取り組みの方向性を決定しました。2019年にブラマー社が当社グループの一員となって以来、同社がカカオのサステナブル調達を牽引し大きな役割を果たしています。
今後も、顧客、サプライヤー、認証機関、国際機関などと緊密に連携し、グループの調達方針に沿ったプログラムやイニシアチブを展開していきます。
Next Step
農家の所得向上、児童の保護、カカオ農家への教育機会の提供、女性の地位向上、森林の保護・再生などが重要です。これらの課題に取り組むため、2024年度には以下の目標に取り組んでいきます。
- 直接調達とトレーサビリティシステムの改善に向け、農家の90%のGPSマッピングの維持
- 当社グループの直接調達サプライチェーン上の農家コミュニティで、児童労働監視・是正システム(CLMRS)の導入継続
- 当社グループの直接調達サプライチェーン上の110のコミュニティにおいて女性のエンパワーメント支援の実施(コートジボワール、ガーナ)
- 当社グループの直接調達サプライチェーン農家におけるGAPトレーニングの継続
- 植樹100万本の取り組み継続に向けた当社グループの直接調達サプライチェーン上での植樹62,000本の実施(コートジボワール)
- Satelligence社提供データ※の活用によるサプライチェーン関連の森林破壊の評価ならびに131,000ha以上の土地の森林破壊リスク評価の実施
- CFIでのコミットメントの一環として、ブラマー社による農園やその周辺での多種多様な緑陰樹の苗木約165,000本の配布(コートジボワール、ガーナ)
- ※ 「森林の保全と再生」をご参照ください。
具体的な取り組み
世界カカオ財団(WCF)への参画
当社グループは2012年より、世界カカオ財団※へ加盟しています。世界カカオ財団は、カカオセクターの持続可能性を強化し、カカオ農家とカカオ栽培地域の生活を向上させるために、会員間および会員外の協力を促進することを使命とする非営利の国際的な会員制組織です。
ブラマー社は世界カカオ財団の設立メンバーであり、現在も世界カカオ財団の理事として参画しています。同社はAfrican Cocoa Initiative(アフリカカカオイニシアチブ)やCocoa Livelihoods Program(カカオ生計プログラム)、Cocoa Action(カカオアクション)、CFIといった世界カカオ財団の主力プログラムへの参画を通して、リーダーシップを発揮しています。
CFIのコミットメント達成に向け、ブラマー社が農園やその周辺で372,067本の多目的樹木を植樹しました(コートジボワール、ガーナ)。
欧州カカオ協会(ECA)への参画
フジオイル ヨーロッパ(ベルギー)は、欧州カカオ協会※のメンバーであり、2019年より同協会のサステナビリティ・ワーキンググループに参加しています。
カカオ農家の支援
当社グループは、コートジボワール(2004年開始)、ガーナ(2014年開始)、エクアドル(2013年開始)のカカオ農家を直接支援しています。既存の農業技術を土台とし、ツールやトレーニングを提供することで、農家がGAPや気候スマート農業※を導入するよう働きかけています。GAPの中でも特に剪定は重要なため、コミュニティレベルで剪定に焦点を当てたサービスグループを立ち上げ、希望する農家に有償労働サービスを提供しています。害虫や病気、気候パターンの変化(特に雨量)など大きな課題はありますが、GAPの導入により、最終的には農地の回復力が向上すると期待しています。
プログラムに参加する農家や農家グループは、対象のカカオに対してプレミアムを受け取ります。このプレミアムは当社グループの社内基準や第三者基準を遵守し、トレーサブルでサステナブルなカカオ豆を供給するために必要な追加作業を補うためのものです。農家に支払われるプレミアムは、農家の収入向上にも直接貢献しています。また、農家グループには、プレミアムの一定割合を、教室や学校食堂、給水ポンプなどの建設や修復など、カカオ農家全体に利益をもたらす社会的取り組みに再投資することが奨励されています。
- ※ カカオ栽培における気候変動の影響を緩和し、適応することを目的とした持続可能な農業アプローチ。カカオ栽培のレジリエンス向上、温室効果ガスの排出削減、持続可能な農法の推進に重点を置く。