グループ会社一覧

CO2の排出削減

マテリアリティ

気候変動

方針

不二製油グループは、2015年に「環境基本方針」を策定しました。

ガバナンス

当社グループは、取締役会の諮問機関であり最高経営責任者(CEO)が委員長を務めるサステナビリティ委員会※1にて、ESGマテリアリティ※2「気候変動」について、マルチステークホルダーの視点で審議・監督し、取締役会へ答申しています。また、ESG部門長のもと、「環境ビジョン2030※3」達成に向けた同重点項目「CO2の排出削減」の取り組みを推進しています。

戦略

脱炭素化の潮流の中、COP28ではパリ協定の1.5℃目標に対し世界の進捗は隔たりがあることが明らかになり、各国の事情を踏まえた道筋のもと着実にCO2の排出削減を進めていくことが求められています。農産物を主原料とし、世界各地の生産拠点でエネルギーを使用し、自然の恩恵を受けながら操業する当社グループにとって、気候変動は重要な課題です。今後、気候変動の緩和が進まなければ、当社グループも自然災害リスクはもとより、原料収穫量減少による安定調達への影響や、炭素税などの環境規制によって事業活動が制限を受けるリスクが高まります。
当社グループは、「環境ビジョン2030」のもとグループ全体でCO2排出量の削減に取り組んでいます。2016年度比でスコープ1+2の総量を2030年度までに40%削減、スコープ3(カテゴリ1)総量を18%削減する目標を掲げており、これらの目標は2020年5月にScience Based Targets(以下、SBT※1)認定を取得しました。目標達成に向け、継続的な生産現場での省エネ活動はもとより、エネルギー使用量の少ない新設備や再生可能エネルギーの導入も推進しています。日本では、2030年までに全ての購入電力をCO2フリー電力※2へ切り替える活動を進めており、グループ一体となって目標達成を目指しています。

  • ※1 パリ協定が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のこと。
  • ※2 電力事業者が提供する、CO2フリーの価値を付加した再生可能エネルギー由来の電力。CO2排出係数をゼロとして算定できる。

リスク管理

指標と目標GRI:305-5

2030年度目標※1 2023年度実績※1 2030年度目標の
達成率
スコープ1※2+2※3総量40%削減(グループ全体) 29%削減 73%
スコープ3※4(カテゴリ1※5)総量18%削減(グループ全体※6 27%増加 未達成
  • ※1 基準年:2016年度。
  • ※2 スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。
  • ※3 スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
  • ※4 スコープ3:事業者の活動に関する他社の排出(カテゴリ1~15)。
    IDEA ver.3.3およびLULUC(土地利用/土地利用変化)係数を用いて2016年度・2022年度・2023年度の排出量を再算定。
  • ※5 カテゴリ1:購入した製品・サービス。
  • ※6 インダストリアル フード サービシズ(オーストラリア)、フジ ブランデンブルク(ドイツ)は除く。

〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満

2023年度目標 2023年度実績 自己評価
省エネ活動や再生可能エネルギー導入などを推進
  • グループ会社7社へ環境監査を通じた社内啓発を実施
  • 2024年度からの導入に先立ち、インターナルカーボンプライシングの説明を海外グループ会社へ実施
  • 不二製油(株)にて省エネ活動の活性化および自立化を目指した省エネパトロールを開始
  • 不二製油(株)関東工場の施設屋上およびカーポートに太陽光パネルを設置
  • 不二製油(肇慶)有限公司(中国)において新たに太陽光パネルを設置
  • 巴洛美巧克力製造(上海)有限公司に太陽光パネルを設置
主要サプライヤーに対してエンゲージメントを推進 国内外サプライヤー16社に対し、オンライン面談やアンケート送付などを通してエンゲージメントを実施

考察

スコープ1+2のCO2排出量は、前年度の対基準年26%削減に対し2023年度は29%削減となり、3ポイント好転しました。2030年度目標の40%削減に対しては、達成率73%となりました。日本の事業拠点では購入電力の約50%がCO2フリーになり、海外グループ各社でも節電や設備保全など省エネ活動や再エネ導入が寄与し、CO2排出量は減少しています。環境マネジメントについては、環境監査を通じて改善を図りました。また、環境配慮の投資を促進するため、一部の海外グループ会社において、インターナルカーボンプライシング制度(参考:1万円/t-CO2)のテスト導入準備を行いました。
スコープ3カテゴリ1のCO2排出量については、IDEA ver.3.3およびLULUC(土地利用/土地利用変化)係数を用いて2016年度・2022年度・2023年度の排出量を再算定した結果、2022年度実績は対基準年12%増加が30%増加、2023年度実績は対基準年27%増加となり、3ポイント好転しました。2030年度目標の18%削減に対しては達成率0%となりました。生産量増加に伴いスコープ3カテゴリ1のCO2排出量も増加しており、排出量削減に向け、国内外のサプライヤー約10%を占める16社に対し、面談やアンケート調査を通じてエンゲージメントを実施しました。

年間CO2総排出量(スコープ1+2)と原単位推移

Next Step

当社グループは基準年度から順調にCO2排出量を削減していますが、脱炭素社会の実現に向け、2024年度は以下の目標に取り組みます。

  • CO2排出量削減の新目標策定
  • スコープ1+2排出量削減レベルの向上
    - 省エネ活動や再生可能エネルギー導入の継続的推進
    - 海外グループ会社へのインターナルカーボンプライシング制度導入促進
  • スコープ3排出量削減レベルの向上
    - サプライヤーエンゲージメントの継続的実施

具体的な取り組み

日本国内のエネルギー管理活動

不二製油(株)および国内グループ会社では「環境ビジョン2030」への取り組みとしてエネルギー管理や改善活動を推進しています。具体的には、省エネ活動の活性化および自立化を目指し、省エネパトロールを開始しました。まずは省エネに対する感度を高めるために、阪南事業所内の工場で超音波カメラやサーモカメラを活用してエネルギーロスを可視化しました。今後、そのロス改善と他工場への横展開を計画しています。これらの活動により、省エネ法※1における努力目標※2は2023年度も達成できる見通しです。
また、不二製油(株)は2024年度から本格運用される「省エネ法定期報告情報の開示制度※3」の試行運用に賛同し、積極的な情報開示に努めています。さらに大幅なCO2削減施策として、阪南事業所のコージェネレーション設備※4の更新※5を決定し、2025年度の運用開始を目指しています。なお、本設備は改造により水素混焼できる仕様としており、非化石燃料への転換を可能とするよう検討を進めます。

  • ※1 エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律。
  • ※2 5年間平均原単位を年1%以上低減。
  • ※3 資源エネルギー庁が創設した省エネ法に基づく定期報告書の情報を開示する制度。東証プライム上場企業を対象とした試行運用に47社が賛同。
  • ※4 天然ガス、石油等を燃料として、タービン等の方式により発電し、その際に生じる廃熱も同時に回収するシステム(経産省HPより引用、抜粋し一部改変)。
  • ※5 省エネの補助金(令和4年度省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金)の採択事業。

生産設備の省エネ化

2023年度の省エネ化事例は以下のとおりです。

  • 不二製油(株)阪南事業所では、生産プロセスから回収した排熱を洗浄水の加熱源として再利用し、省エネを図りました。
  • 不二製油(株)千葉工場では、設備保温用の蒸気供給制御に独自の自動システムを導入し、設備停止時の蒸気使用の抑制を図りました。
  • 不二製油(張家港)有限公司(中国)では、蒸気の使用量削減に取り組み、CO2排出量の削減につなげました。
  • フジ グローバル チョコレート(M)(マレーシア)では、冷水ポンプの流量を最適化することで、エネルギー使用量を削減しました。
  • フジオイル(タイランド)では、小型ボイラーを導入することで小ロット生産を行う際のエネルギー効率を改善しました。
  • パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)では、高効率モーターへ切り替えることでエネルギー使用量を削減しました。

再生可能エネルギーの導入GRI:302-4

当社グループの20生産拠点のうち、11拠点で太陽光発電を設置しています。2023年度は、不二製油(株)関東工場と、不二製油(肇慶)有限公司(中国)にて新たに太陽光発電利用を開始し、巴洛美巧克力製造(上海)有限公司にも太陽光パネルを導入しました。ブラマー チョコレート カンパニー(米国)では、生産拠点のあるペンシルベニア州、イリノイ州、カリフォルニア州の法律にのっとって再生可能エネルギーを一部使用しており、さらにRECs※1を購入しています。不二製油(株)阪南事業所・千葉工場およびフジ オイル ガーナにはバイオマスボイラーを導入し、製造工程で副産物として生成されるバイプロ油を燃料として活用しています。これはCO2の削減と併せ廃棄物削減にもつながります。
東京支社のオフィスでは、使用する電力量分の「グリーン電力証書※2」を購入しています。これによりCO2を排出しない自然エネルギー由来の電力とみなされるため、同所の2023年度のCO2排出量約31トン-CO2相当を削減したことになります。
なお、2023年度末時点で、化石燃料相当と仮定したCO2排出量に占める再生可能エネルギーの割合はスコープ1、2におけるCO2排出量合計の7%(25,240トン-CO2相当)となりました。引き続き再生可能エネルギーの利用を進めます。

  • ※1 RECs:Renewable Energy Certificates
  • ※2 グリーン電力証書:再生可能エネルギーの「環境付加価値」を証書として発行したもの。

不二製油(株)関東工場では初のカーポート設置型太陽光パネルを導入

不二製油(肇慶)有限公司(中国)では太陽光パネルを導入

巴洛美巧克力製造(上海)有限公司では太陽光パネルを導入

スコープ3の削減活動

スコープ3のCO2排出量削減に向け、カテゴリ1排出量の約10%を占める国内外のサプライヤー16社に対し、面談やアンケート調査を通じてエンゲージメントを実施しました。サプライヤーにCO2排出削減の重要性、当社グループの方針、環境目標や削減活動についてご理解いただくとともに、サプライヤーのCO2削減目標や取り組み状況を共有いただきました。
サプライチェーン全体のCO2排出量削減に向け、サプライヤーのCO2削減効果を当社グループのスコープ3算定に反映できるよう、引き続きエンゲージメントを実施していきます。

関連資料