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CO2の排出削減

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事業活動との関わり

近年、地球温暖化などの気候変動に伴う地球規模の環境問題が深刻化し、人々の暮らしや企業の事業活動に影響を与えています。食品素材メーカーである不二製油グループは、工場の操業をはじめ、原料の生産段階、調達や輸送などバリューチェーンの各工程においてエネルギーを使用し、CO2を排出しています。

考え方

不二製油グループは社会の一員として、経済的価値を創出するだけではなく、バリューチェーン全体で地球環境に配慮した事業活動を展開しています。「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べ2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑えるよう努力を続けること」を目的とした国際的枠組みであるパリ協定では、各国は温室効果ガス削減に向けた目標を定め、今世紀後半に温室効果ガスの人為的な発生源による排出と吸収源による除去量を均衡させるよう取り組むことを求められています。このような状況を認識し、当社グループは「環境基本方針」に基づいてCO2の排出削減に取り組んでおり、「環境ビジョン2030」※1において、グループ全体でのCO2排出量削減についてコミットメントを表明しています。本目標は、Science Based Targets(以下、SBT※2)に基づき、2016年比でスコープ1+2の総量を2030年までに40%削減、スコープ3(カテゴリ1)の総量を18%削減と設定し、2020年5月にSBT認証を取得しました。日本では環境ビジョン2030の達成を目指すため、2030年までに全ての購入電力をCO2フリー電力※3へ切り替える活動を進めています。生産現場での省エネ活動を継続することはもとより、エネルギー使用量の少ない新設備の導入や再生可能エネルギーの使用によりCO2排出量の削減を推進し、グループ一体となり目標達成を目指します。

推進体制

不二製油グループ本社ESG部門長の管掌のもと取り組みを推進しています。また、ESGマテリアリティ※1の一つとして、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会※2において進捗や成果を確認しています。

目標・実績

2030年目標※1 2022年度実績※1 達成率
スコープ1※2+2※3総量40%削減(グループ全体) 26%削減 65%
スコープ3※4(カテゴリ1※5)総量18%削減(グループ全体※6 12%増加 未達成
  • ※1 基準年:2016年。
  • ※2 スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。
  • ※3 スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。
  • ※4 スコープ3:事業者の活動に関する他社の排出(カテゴリ1~15)。
  • ※5 カテゴリ1:購入した製品・サービス。
  • ※6 インダストリアル フード サービシズ(オーストラリア)、フジオイル ニューオリンズ(米国)は除く。

〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満

2022年度目標 2022年度実績 自己評価
環境データ収集システムによるタイムリーな環境データ収集の開始 グループ各社と連携し環境データ収集システムの運用を開始
環境ビジョン2030の社内浸透(ER) グループ会社7社へ環境監査を通じた社内啓発を実施
削減活動の推進およびレベル向上
  • 不二製油(株)へインターナルカーボンプライシング制度をテスト導入
  • グループ会社7社へ環境監査を通じた社内啓発を実施
スコープ3(カテゴリ1)の削減に向けたエンゲージメント方法の検討および一部サプライヤーに対するエンゲージメントの開始 フジオイル ヨーロッパ(ベルギー)のサプライヤー3社に対してエンゲージメントレターを送付、本エンゲージメントの重要性を説明し、1社から回答を回収

考察

2030年目標に対する取り組み

スコープ1+2のCO2排出量は、前年度の21%削減に対し、2022年度は26%削減となり、5ポイント好転しました。目標の40%削減に対しては、達成率65%となりました。生産量が対前年度で減少したことや、各社の削減活動が寄与しCO2排出量は減少しました。国内では、事業拠点の電力をCO2フリー電力に切り替えることにより不二製油(株)関東工場と不二つくばフーズ(株)でのスコープ2のCO2排出量がゼロになりました。海外では各社で節電や設備保全などによる省エネ活動を行い、不二製油(張家港)有限公司(中国)では太陽光発電を導入しました。
スコープ3のCO2排出量は、前年度の15%増加に対して、2022年度は12%増加となり、3ポイント好転しました。目標の18%削減に対しては、達成率0%となりました。対基準年で生産量が15%増加しており、それに伴いスコープ3カテゴリ1の排出量も増加しました。2022年度は算定に使用しているデータベースの変更に伴って、基準年の再算定を実施しました。

2022年度目標に対する取り組み

「環境ビジョン2030」の達成に向け、オンライン環境監査を通じて同ビジョンの説明や省エネの考え方などを共有しました。
また、削減活動の推進を目的としてインターナルカーボンプライシング制度を活用すべく、世界の炭素税価格や炭素取引価格(ETS)を参考に検討を行いました。不二製油(株)では2022年度からトライアル導入し、2023年度からCO21トン当たり1万円として本格導入することとなりました。今後、投資判断の参考情報として活用していきます。また、海外グループ会社へのトライアル導入も進めます。
スコープ3(カテゴリ1)の削減に向けたエンゲージメントとして、サプライヤー数社に対し活動を開始しました。2023年度は2022年度の実績を踏まえて、さらなるエンゲージメント活動を実施します。

年間CO2総排出量(スコープ1+2)と原単位推移

Next Step

  • CO2排出量削減の新目標策定に向けた準備
  • 2030年目標に向けた排出削減レベルの向上
    - グループ会社の一部へのインターナルカーボンプライシング制度のテスト導入
    - スコープ3(カテゴリ1):主要サプライヤーへのエンゲージメントの実施
    - 省エネ活動や再生可能エネルギー導入などの推進

具体的な取り組み

日本国内のエネルギー管理活動

不二製油(株)および国内グループ会社は、省エネ法によるエネルギー原単位改善と「環境ビジョン2030」の達成を目指しており、2022年12月にこれらの責任者が参加する「エネルギー管理代表委員会」を開催し、2030年までに全ての購入電力をCO2フリー電力へ切り替えることを確認しました。
さらに不二製油(株)は、2023年度からエネルギー管理組織に事務・営業部門を加え、省エネ・CO2削減を生産部門だけでなく全社で推進できる体制へと変更しました。啓発面では、自社で作成した省エネ・CO2削減に関する教育動画を2023年1月より日本国内用イントラネットにアップし、いつでも、どこでも、だれでも受講できるようにしました。設備投資面では、CO2排出量削減を一層推進するために、インターナルカーボンプライシング制度をトライアル運用し、2023年度より本格導入します。

  • ※ エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律。

生産設備の省エネ化

2022年度の省エネ化の一例は以下のとおりです。

  • 不二製油(株)の阪南事業所に2023年1月にオープンした厚生館は、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS※1)の最高ランクである5つ星を獲得し、「ZEB Ready※2」認証を取得しました。
  • 不二製油(株)阪南事業所では、蒸気ロス診断結果の改善や生産性改善活動により、エネルギー消費量の削減を推進しました。
  • 不二製油(張家港)有限公司(中国)ではタンクエリアの夜間照明の削減や小まめな蒸気の管理を実施しました。
  • フジオイル タイランドとパルマジュ エディブルオイル(マレーシア)、フジオイル シンガポールではスチームトラップの破損個所を特定し交換し、蒸気ロスを削減しました。
  • ※1 国土交通省主導の建築物の省エネルギー性能に特化した第三者認証制度。BEI(省エネルギー性能指標)値による5段階の星評価。
  • ※2 ZEB(Net Zero Energy Building)を見据えた先進建築物として、外皮の高断熱化および高効率な省エネルギー設備を備えた建築物。判断基準は、再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から、50%以上の一次エネルギー消費量を削減していること。

再生可能エネルギーの導入

環境ビジョン2030の目標達成に向けて、再生可能エネルギーを導入しています。2022年度は不二製油(張家港)有限公司(中国)(2022年8月)において新たに太陽光発電の利用を開始しました。1拠点が追加されたことで、不二製油グループの8拠点で太陽光発電が稼働しています。
日本の不二製油(株)阪南工場、神戸工場、つくば研究開発センター、福岡営業所では、購入電力のCO2フリー電力への切り替えを進めました。関東工場やつくばフーズでは全量を切り替えたことで、スコープ2の排出量がゼロになりました。これにより、日本での購入電力の50%がCO2フリーになりました。
ブラマー チョコレート カンパニー(米国)では、生産拠点のあるペンシルベニア州、イリノイ州、カリフォルニア州の法律に沿って再生可能エネルギーを一部使用しており、さらにRECs※1を購入しています。また、ハラルド(ブラジル)でも新たにI-REC※2の購入を開始しました。
不二製油(株)阪南工場やフジオイル ガーナでは、バイオマスボイラーを導入し、製造工程で副産物として生成されるバイプロ油を燃料として活用しています。2022年度は新しく不二製油(株)千葉工場にも設置しました。
オフィスでの取り組みとしては、不二製油グループ本社の東京オフィスで使用する電力に「グリーン電力証書※3」を活用しています。グリーン電力証書の購入により、CO2を排出しない自然エネルギー由来の電力とみなされるため、同事業所の2022年度のCO2排出量約32トン-CO2相当を削減したことになります。
なお、2022年度末時点で、化石燃料相当と仮定したCO2排出量に占める再生可能エネルギーの割合はスコープ1、2におけるCO2排出量合計の7%(27,814トン-CO2相当)となりました。引き続き再生可能エネルギーの利用を進めます。

  • ※1 Renewable Energy Certificates
  • ※2 International Renewable Energy Certificates
  • ※3 再生可能エネルギーの「環境付加価値」を証書として発行したもの。

太陽光発電電力の利用を開始した不二製油(張家港)有限公司(中国)

不二製油(株)千葉工場のバイオマスボイラー

関連資料