グループ会社一覧

環境に配慮したものづくり

マテリアリティ

気候変動

マネジメント情報

事業活動との関わり

不二製油グループでは、製品の製造工程における環境負荷低減、特にCO2排出や化学物質利用による負荷低減はものづくりにおいて重要な課題だと認識しています。また、自社の製造工程だけでなく、原料の栽培段階や、顧客が当社グループの製品を加工される段階も含めた製品のライフサイクル全体で環境負荷を評価し、効率的に低減することが肝要と考えています。

考え方

環境ビジョン2030で掲げるCO2排出量、水使用量、廃棄物量それぞれの削減目標の達成に向け、まずは自社の製造工程において環境負荷が低い加工技術の確立を目指します。また、原料の生産過程での地球環境の保全など、事業活動の全体を通じて俯瞰的に評価を行い、革新的な技術開発によるライフサイクル視点での環境負荷低減を目指します。

推進体制

最高技術責任者(CTO)の管掌のもとで取り組みを推進しています。また、ESGマテリアリティ※1の一つとして、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会※2において進捗や成果を確認しています。

目標・実績

〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満

2022年度目標 2022年度実績 自己評価
新規酵素油脂加工技術の現場トライアルにおける課題の解決と、実用化に向けた製造方法の確立 従来技術より化学物質の使用量を削減できる「酵素法」を用いた新規油脂加工技術を確立
大豆たん白事業における排出CO2の有効活用施策として、原料大豆生産時のカーボンニュートラルに向けた栽培システムの構築とそこで活用する大豆品種の選別
  • 佐賀市、国立大学法人佐賀大学、伊藤忠エネクス株式会社と連携し、清掃工場で発生するCO2と排熱を活用した大豆植物工場の開発に着手
  • 好適な大豆品種の選別には未着手
育種技術による油脂生産の効率化につながる原料植物の作出ならびに油脂原料の実用化検討と環境負荷の低減効果についての試算
  • 育種による新規油脂原料の実用化については、成分の一部が製品品質に影響を及ぼすことを確認、油脂中での含量上限を設定
  • 同油脂による環境負荷の低減試験は未実施

考察

新規酵素油脂加工技術の実用化検討では、20回以上の現場トライアルを重ねることで製造方法を確立できました。
サステナブルな大豆原料の作出については取り組みを開始しましたが、CO2施肥設備を含む試験栽培の環境整備に時間を要したため、大豆品種の選別には至りませんでした。
育種による新規油脂原料の実用化については、製品の品質についてラボレベルで検討しました。一方、栽培試験で得た種子の乾燥に時間を要したため、環境負荷の低減試験までは至りませんでした。

Next Step

CO2の排出削減や排出CO2の有効活用による環境負荷の低減を目指す中で、自社製品の製造工程だけでなく、原材料も含めたライフサイクル全体での活動実施を課題として認識しています。この課題への対策として、以下の2023年度目標に取り組みます。

  • 排出CO2の有効活用によるサステナブルな大豆の作出について、大豆の栽培試験環境の整備と好適な大豆品種の選別に必要なデータの取得
  • 育種により作出した新規油脂について、試験栽培で獲得した油脂を用いた環境負荷低減効果の検討

具体的な取り組み

清掃工場から排出されるCO2を活用した国産大豆育成研究プロジェクト

気候変動ならびに人口増加に伴う食資源不足の解決に寄与する技術の創出は不二製油グループの重要課題であり、また、近年の食糧およびエネルギー資源価格高騰への対応策として、国産農作物を活用した「サステナブルでおいしい体に良い食の提供」は食料安全保障の面でも必要不可欠と考えています。カーボンフットプリント削減の観点でも意義のある「国産」に改めて注目し、2022年5月より国産大豆の生産においてCO2を有効活用する共同研究を、佐賀市、国立大学法人佐賀大学、伊藤忠エネクス株式会社とともに開始しました。佐賀大学の実験施設でのCO2施肥による実証試験の結果、想定通りの成長速度であること、良質な大豆が獲得できることを確認しました。佐賀市の清掃工場にあるCO2分離・回収設備(CCU)で回収されたCO2を活用することを目指し、研究を継続しています。将来的には、この栽培システムで生育した国産大豆を原料に、当社グループの技術を用いたサステナブルな大豆製品として事業化し、広く皆様にお届けしたいと考えています。

  • ※ Carbon dioxide Capture and Utilization。

佐賀市の清掃工場にあるCCU

CO2を施肥して栽培テスト中の大豆

左から、伊藤忠エネクス株式会社 執行役員 田中文弥氏(電力・ユーティリティ部門長)、国立大学法人佐賀大学 農学部准教授 渡邊啓史氏(植物遺伝育種学分野)、佐賀市長 坂井英隆氏、国立大学法人佐賀大学 農学部教授 後藤文之氏(施設園芸学分野)、不二製油グループ本社 取締役上席執行役員 門田隆司氏(最高技術責任者(CTO)兼ESG担当)