環境に配慮したものづくり
マテリアリティ
気候変動
ガバナンス
不二製油グループは、取締役会の諮問機関であり代表取締役社長 兼 CEOが委員長を務めるサステナビリティ委員会※1にて、ESGマテリアリティ※2「気候変動」について、マルチステークホルダーの視点で審議・監督し、取締役会へ答申しています。また、最高技術責任者(CTO)管掌のもと、同重点項目「環境に配慮したものづくり」の取り組みを推進しています。
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※1 ガバナンス、戦略および指標と目標、リスク管理>ガバナンス
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/sustainability_management/
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※2 ガバナンス、戦略および指標と目標、リスク管理>戦略および指標と目標
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/sustainability_management/
戦略
当社グループは、製品のサプライチェーンにおける環境負荷低減を目指しています。その中で、特に原料の栽培工程における排出CO2の活用や、製品の製造工程におけるCO2の排出削減は、ものづくりにおいて重要な課題だと認識しています。また、原料調達や自社の製造工程だけでなく、顧客が当社グループの製品を加工される段階も含めた製品のサプライチェーン全体で環境負荷を評価し、効率的に低減することが肝要と考えています。
これらの課題への対応を怠った場合、気候変動に伴う異常気象によって、生物多様性喪失をもたらすことをはじめ、原料調達、物流、製造など各方面のリスクが高まります。一方で課題への対応を進めることで、地球環境の保全による持続可能な原料供給の実現や、生産工程の効率化によるコスト削減、ステークホルダーからの信頼醸成につながる機会となり得ます。
環境ビジョン2030※で掲げるCO2排出量、水使用量、廃棄物量それぞれの削減目標の達成に向け、まずは自社の製造工程において環境負荷が低い加工技術の確立を目指します。また、原料の生産過程での地球環境の保全など、事業活動の全体を通じて俯瞰的に評価を行い、革新的な技術開発によるライフサイクル視点での環境負荷低減を目指します。
リスク管理
指標と目標
〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満
2023年度目標 | 2023年度実績 | 自己評価 |
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排出CO2の有効活用による大豆植物工場の実現に向け、栽培試験条件の確立と大豆品種の選定に必要なデータの取得 | 栽培温度や栽培密度など単収増に好適な環境条件を検討。また成長性や開花数など品種選定に必要なデータを取得 | ○ |
育種技術により作出した新規油脂原料を用いた生産工程の効率化による環境負荷低減(CO2排出削減量)の検討 | ラボスケールでの検討の結果、新規油脂原料の使用により、CO2排出量を従来原料に対して17%削減できることを確認 | ○ |
考察
大豆の植物工場の実現には、露地栽培に比べて高い生産性が必要です。実際に複数品種の大豆を栽培し、CO2施肥※や栽培条件が大豆の生育に及ぼす景況についてデータを収集することで、植物工場に好適な大豆選定のためのデータ取得につながりました。今後は最適な大豆品種の選定と併せ、適切な栽培規模での生産性についても検討します。
育種による新規油脂原料の実用化については、試験栽培で得た種子を用いてラボスケールでの油脂の生産テストを行うことで、確度の高いCO2排出削減量を試算できました。
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※ CO2施肥:栽培施設内の二酸化炭素の濃度を人工的に高めることで光合成を促し、作物の収量を増やす技術であり、CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization:二酸化炭素の分離回収と有効利用)の取り組みの一つ。
Next Step
排出CO2の有効活用による環境負荷の低減を目指す中で、事業化につながる大豆やエダマメの生産性の改善を当面の課題として認識しています。この課題への対策として、以下の2024年度目標に取り組みます。
- CO2施肥環境下で収量増が期待できる大豆・エダマメの品種選定
- 中規模栽培施設での栽培環境条件の検証
具体的な取り組み
清掃工場から排出されるCO2を活用した国産大豆育成研究プロジェクト
気候変動ならびに人口増加に伴う食資源不足の解決に寄与する技術の創出は当社グループの重要課題であり、また、近年の食糧およびエネルギー資源価格高騰への対応策として、国産農作物を活用した「サステナブルでおいしい体に良い食の提供」は食料安全保障の面でも必要不可欠と考えています。
そこで、2022年5月より国産大豆の生産においてCO2を有効活用する共同研究を、佐賀市、国立大学法人佐賀大学、伊藤忠エネクス株式会社とともに開始しました。現在は植物工場での大豆生産の実現に向けて、最適な大豆品種の選定や収量の向上につながる栽培条件についての検討を進めています。今後は栽培規模を順次拡大しながらデータを蓄積し、植物工場の実現を目指します。将来的には、この栽培システムで生育した国産大豆を原料に、当社グループの技術を用いたサステナブルな大豆製品として事業化し、広く皆様にお届けしたいと考えています。
佐賀市の清掃工場にあるCCU
CO2を施肥して栽培テスト中の大豆