人権マネジメント
方針
不二製油グループは、2017年4月に基本的な考え方として「不二製油グループ人権方針」を策定しました。さらに、当社グループの従業員が人権尊重について共通の認識を持ち、事業活動において責任を果たせるよう、具体的な対応指針として「不二製油グループ人権ガイドライン」を2023年3月に策定しました。
ガバナンスGRI:3-3
当社グループにおいて、人権を含む環境・社会課題への対応は、不二製油グループ本社の取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会※1で審議・監督され、取締役会へ答申・報告されています。同委員会は代表取締役社長 兼 CEOを委員長とし、議決権を持つCxO(Chief X Officer)に加えて、その他の執行役員、事業部門長、社外取締役、ESGアドバイザーで構成され、年2回以上開催しています。ESG部門長のもと、サステナビリティ推進グループが関係部門を統括し、グループ全体の人権リスクを特定しています。重要な人権リスクはESGマテリアリティ※2に反映し、グループにおける人権課題は最高総務責任者(CAO)、サプライチェーン上の人権課題は最高経営戦略責任者(CSO)のもと部門横断的に対応しています。
また、同委員会の下部組織である全社重要リスク分科会においても、全社的な視点で人権リスク・機会について議論と管理を行い、経営会議および取締役会へ報告し、承認を受けています(年1回以上)。
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※1 ガバナンス、戦略および指標と目標、リスク管理>ガバナンス
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/sustainability_management/
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※2 ガバナンス、戦略および指標と目標、リスク管理>戦略および指標と目標
https://www.fujioilholdings.com/sustainability/sustainability_management/
戦略GRI:2-24
人権は、人が生まれながらに平等に持っている、尊厳をもって自由に生きていく権利です。当社グループは前述の方針に示したとおり「不二製油グループ人権方針」ならびに「不二製油グループ人権ガイドライン」を定めており、また、「不二製油グループ憲法」※のプリンシプル(私たちの行動原則)の中で、「私たちは、不二製油グループ社員の多様性と人格、個性を尊重します。」と定め、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)を重視した経営を推進しています。これらの考え方の基盤は「人権尊重」です。
人権への対応を怠った場合、国籍、性別、人種、年齢、性的志向、人格、障がいの有無などにより差別が生じるなどのリスクが高まります。一方でグループを挙げて人権対応をきめ細かく行うことで、公正な機会の提供と公正な評価や従業員エンゲージメントの向上につながる機会となり得ます。
さらに、当社グループは、グローバルなサプライチェーンを有しており、当社グループの従業員に加えてサプライチェーン上の労働者の人権(農園における労働環境、労働安全衛生、非差別・機会均等、強制労働・児童労働、土地の権利に焦点)、さらに消費者も含めた全てのステークホルダーの人権を尊重する責任があることを認識し、「不二製油グループ憲法」のバリュー(私たちが行動する上で持つべき価値観)で表明する「人のために働く」にのっとり、責任を果たすよう努めています。
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※ 不二製油グループ憲法
リスク管理
人権デュー・ディリジェンス
人権デュー・ディリジェンスの全体像
「国連ビジネスと人権に関する指導原則」※1では、企業にも人権を尊重する責任があることが明文化されています。企業は人権尊重の社会的、道義的意義を理解し人権を尊重するよう求められるというもので、方針によるコミットメント、人権デュー・ディリジェンス※2の実施、是正を可能とするプロセスの設置の3つから構成されています。当社グループは「不二製油グループ人権方針」に定める「人権尊重責任の実行」の一つとして、人権デュー・ディリジェンスを実施しています。
- ※1 2011年に国連人権理事会において全会一致で支持された国際文書。
- ※2 企業がサプライチェーン上を含めた事業における人権リスクを特定し、その防止・軽減を図り、取り組みの実効性や対処法について説明・情報開示する一連の行為。
インパクトアセスメントのプロセス
事業活動が関与し得る人権への負の影響を特定・評価し、優先的に対処すべき重要な課題を特定するため、「国連ビジネスと人権指導原則」で提唱されるプロセスにのっとり、外部の有識者の助言を得て、人権インパクトアセスメントを実施しています。2016年度に第1回、2020年度に第2回のアセスメントを実施し、下記のとおり人権リスクを確認しました。2020年度のアセスメントでは、ビジネスと人権分野に知見を持つ団体BSRより第三者の立場から助言をいただきました。
第1段階として、BSRのノウハウをもとに、当社グループの事業活動や操業地域の特性上の人権リスクを洗い出しました。
第2段階として、BSRの参画を得て社内関係者にインタビューを行い、当社グループの実情を可能な限り反映して、事業活動を通して影響を及ぼし得る6分野(①労働安全衛生、②サプライチェーン上の労働者の人権、③ダイバーシティ&インクルージョンおよび職場の人権、④食品安全、⑤ガバナンス・リスク・コンプライアンス、⑥気候変動による人権への影響)の人権リスクを特定しました。
第3段階として、専門家からの助言に基づき、特に対応を優先すべき重要な人権リスクとして3分野(①労働安全衛生、②サプライチェーン上の労働者の人権、③ダイバーシティ&インクルージョンおよび職場の人権)を特定し、経営層に報告しました。
中期的に特定されたリスク3分野の低減に取り組み、進捗については、本レポート(人権マネジメント、DE&Iの推進、サステナブル調達などの関連するテーマページ)で詳細を記載しています。
第1回・第2回人権インパクトアセスメントの結果
ステークホルダーからの意見を踏まえた人権リスク対応の進捗概要
2016年度の第1回人権インパクトアセスメント以降、ビジネスと人権分野に知見を持つ専門家などステークホルダーの意見を踏まえた人権リスク対応を実施しています。第2回人権インパクトアセスメントにより特定された人権リスクへの2023年度の対応実績については「指標と目標」欄をご参照ください。
人権に関するリスク管理の仕組み
- 「不二製油グループ人権方針」の策定/人権デュー・ディリジェンスの導入(2017年4月)
- 第2回人権インパクトアセスメント実施(2020年)
- 「不二製油グループ人権ガイドライン」の策定(2023年3月)
サプライチェーン上の労働者の人権への対応
- 「責任あるパーム油調達方針」の策定(2016年3月)
- パーム油のグリーバンスメカニズムの構築・公表(2018年5月)
- パーム油搾油工場(ミル)リストの公表(2018年6月)
- 「責任あるカカオ豆調達方針」の策定(2018年8月)
- パーム油のグリーバンスプロシージャーの改訂(2020年4月)
- 「不二製油グループサプライヤー行動規範」の公表(2021年4月)
- 「責任ある大豆、大豆製品の調達方針」の策定(2021年6月)
- 「責任あるシアカーネル調達方針」の策定(2021年6月)
- 不二製油(株)「CSR調達ガイドライン」の改訂(第3版)(2021年11月)
- 「不二製油グループ生物多様性方針」の策定(2023年3月)
グリーバンス(苦情処理)メカニズムGRI:2-25, 26
内部通報制度
国内・海外グループ会社従業員(退職者を含む)および一部協力会社従業員を対象に、内部通報制度※を設けています。
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※ 公正な企業活動>内部通報制度
サプライチェーンを対象としたグリーバンスメカニズム
2018年5月、「責任あるパーム油調達方針」に基づくグリーバンスメカニズム※を構築しました。グリーバンスメカニズムでは、当社グループのパーム油について、サプライチェーン上の環境・人権問題などの懸念を提起することができます。当社グループのウェブサイトに「グリーバンスメカニズム」のページ(英語)を設け、そのメカニズムと進捗状況を公表しています。
不二製油グループ人権ガイドライン
「不二製油グループ人権方針」に基づき、当社グループ内の職場や従業員に関する人権課題への対応指針とし2023年3月に「不二製油グループ人権ガイドライン」を策定しました。当社グループの全従業員が使えるよう9言語を用意しています。
これは第2回人権インパクトアセスメントで特定されたリスク「職場の人権(ハラスメント・強制労働)」への対応の一環として行ったものです。2021年度のBSRとのダイアログで指摘された包括的な人権リスクマネジメント体制構築に向け、グループ各社で一貫した人権尊重責任を果たすことを目的としています。
教育・普及啓発活動
毎年、12月10日の世界人権デーに合わせて「不二製油グループ人権週間」を設定し、グループ従業員に向けて、ビジネスと人権に関する担当役員メッセージと注意喚起メールを発信しています。2023年度は企業視点から人権尊重を理解するポイントについて社内コミュニケ―ションサイト(日本語・英語・中国語・ポルトガル語)で紹介し、社内の意識向上を図りました。
社内コミュニケーションサイト(日本語・英語・中国語・ポルトガル語)に掲載した担当役員メッセージ
ビジネスと人権eラーニング動画(2019年人権週間に配信)
指標と目標GRI:408-1、409-1
2020年度第2回人権インパクトアセスメントで特定した人権リスク | 特に確認・留意する事項 (専門家の推奨事項) |
対策の方向性 | 2023年度実績 |
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労働安全衛生 関係するステークホルダー:従業員 |
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サプライチェーン上の労働者の人権(農園における労働環境、労働安全衛生、非差別・機会均等、強制労働・児童労働、土地の権利に焦点) 関係するステークホルダー:サプライチェーン上の労働者 |
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ダイバーシティ&インクルージョンおよび職場の人権(ハラスメント・強制労働) 関係するステークホルダー:従業員 |
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