ニュースリリース
責任あるパーム油調達に関する取組み状況について
2017年11月27日
1. 趣旨
不二製油グループ本社株式会社は、2016年3月に「責任あるパーム油調達方針」(以下:調達方針)を策定・公表いたしました。この調達方針は、当社グループのパーム油サプライチェーンにおけるNDPE(No Deforestation, No Peat ,No Exploitation)を目指すことを約束するものです。本レポートでは、前回レポート(2017年5月)以降の、調達方針を推進するための取組みの進捗を報告いたします。
2. 進捗
(1)トレーサビリティ
当社グループでは、サプライチェーンを把握し改善するために、トレーサビリティの把握に取り組んでいます。2020年までに搾油工場までの完全なトレーサビリティの達成を目指しています。
2017年1月-6月の期間において、不二製油はグループ全体で96%のパーム関連のトレーサビリティスコアを達成しました。このスコアは、パーム油のスコア96%とパーム核油のスコア97%を合わせたものです。
搾油工場までのトレーサビリティスコア 推移(%)
2017年1月~6月 | 2016年7月~12月 | 2016年1月~6月 | |
---|---|---|---|
パーム油 | 96 | 93 | 93 |
パーム核油 | 97 | 96 | 98 |
合計 | 96 | 94 | 94 |
スコアは地域によって異なりますが、当社グループ全体として前期(2016年7月~12月)に比べ向上しました。これは、特にタイおよび中国において、サプライヤーとのコミュニケーションを強化したことによります。引き続き、当社グループの調達方針を理解いただけるサプライヤーとのエンゲージメントを強化し、スコア向上に努めます。
※結果に関する留意事項
トレーサビリティスコアは、データの可用性、調達先の変更、時間の経過あるいはその他の問題に伴い変動する場合があります。すべてのトレーサビリティの数値は、サプライヤーによって自己開示された情報に基づきます。オイルミルのGPS座標については、当社が直接保有する情報だけではなく、パートナーであるTFTが保有する情報を使用しております。このスコアリングにおいては、GPS座標に関する情報を含んでいないオイルミルを暫定的にトレース可能と見なしております。また、一部のオイルミルデータに関して、TFTと当社のサプライヤーの間で秘密保持契約を締結しており、現在当社がこのデータを保有する計画を進めております。
(2)サプライチェーン改善活動 ART (Aggregator Refinery Transformation)計画
当社グループはNGOのTFT(The Forest Trust)と協力して、パルマジュ エディブル オイル社(マレーシアに所在する当社グループの一次精製会社、以下パルマジュ社)のサプライチェーン上の、パーム原油およびパーム核油サプライヤーに対し、2016年10月からART (Aggregator Refinery Transformation)計画を実行しています。これはパルマジュ社のサプライヤーの事業活動が、当社グループの調達方針に沿うものとなるよう支援する計画です。
上記<図1>の通り、2017年11月現在、「①A社との改善活動」と「②A社以外のサプライヤーとの改善活動」の2種類の活動を行っています。
①A社との改善活動
A社との改善活動は、同社サプライチェーンの現状と当社グループ調達方針とのギャップを埋めて改善し、また模範的な搾油工場のあり方を他のサプライヤーに対して提示するために問題の起こりやすいポイントや現実に即した解決方法などの知見を得ることを目的として実施しています。A社サプライチェーン上の搾油工場、農園、小規模生産者を調査の結果、2017年6月から11月にかけてA社を3回、のべ11日間訪問し、改善支援を実施中です。改善支援の進捗として以下の成果をご報告します。
・A社における搾取ゼロ方針の策定(検討中)
・A社における苦情処理手順の実施
・A社における採用管理規則の実施
・A社における外国人労働者のパスポートの返却手順・計画の策定
・A社における、A社の全労働者との雇用契約書の締結(2017年内)
②A社以外のサプライヤーとの改善活動
当社グループはA社との改善活動から得られた知見や経験をもとに、模範的な搾油工場や農園、小規模農園のあり方を広範なサプライヤーと共有する方法で活動を実施しています。2017年5月、A社以外のサプライヤー(搾油工場)を対象にセミナーを2回、のべ4日間開催。セミナーでは、当社グループの調達方針、環境問題や人権問題を含めサプライヤーへの要請を行いました。セミナーにはほぼすべてのサプライヤーが参加し、NDPE(No Deforestation, No Peat ,No Exploitation)に対する理解を深めていただきました。
(3)小規模農家支援
パーム油小規模農家の課題は、ノウハウ不足により持続可能な農園運営が難しいことです。当社グループは2016年1月から、NGOのWild Asiaおよびサプライヤーと連携して、マレーシアのサバ州キナバタンガン地域の小規模農家の教育支援活動を行っています。支援の期間は4年間を予定しています。
この活動を通じ、2017年5月、支援先の農家55軒がRSPO認証を取得しました。今後もWild Asiaおよびサプライヤーと連携して、支援を継続してまいります。
3. 今後の取り組み
私たちは引き続きパートナーと協力し、サプライヤーに当社グループの方針の理解を深めていただけるように取組みます。ART計画を継続し、2018年上半期に該当サプライヤーへ「情報収集、自己診断および改善のためのツール」を配布予定です。また、苦情処理メカニズムについても、2018年3月末までの構築を目指し、現在検討を進めています。
当社グループは、本調達方針に関する取組みの進捗レポートを半年ごとに更新する計画です。次回レポートは2018年5月に公開予定です。
以上