IR情報
CFOメッセージ

新型コロナウィルスの影響下
如何に手元流動性と財務安定性を確保するか
取締役 兼 上席執行役員
最高財務責任者(CFO)
松本 智樹
新型コロナウィルスの世界的な感染拡大に伴い、事業環境の不透明感が強まる中、当社グループは従業員の健康と安全の維持、工場の安定稼働、サプライチェーンの確保、債権の保全、経費の削減等、事業への影響を最小限に抑える施策を実施すると共に、手元流動性と財務安定性を確保することに注力しております。
当期末の手元現預金は186億円保有しており、加えて当社は金融機関と100億円のコミットメントラインの契約を締結しております。またBlommer社は350百万US$のコミットメントラインを設定しております。金融機関との良好な関係を維持し、手元流動性を確保してまいります。
当期末の自己資本比率は42.3%で前期末比+2.3p上昇しております。D/Eレシオは0.94、ネットD/Eレシオは0.82と夫々前期比で改善しており、当期末の有利子負債は1,462億円と前期末比142億円減少しております。
また当期発行した劣後債(350億円)の格付け上の資本性考慮後は自己資本比率は47.1%となり、D/Eレシオは0.74、ネットD/Eレシオは0.64となり、財務基盤の強化を図り、財務安定性の確保に取り組んでおります。
当期は海外が15か月決算の変則決算ということもあり、営業キャッシュ・フローは371億円、フリーキャッシュ・フローは188億円と過去最大となりました。
20年度においても、コロナ禍で営業キャッシュ・フローが減少することに連動し、既決済の投資案件においても、精査の上(中断・延期を含め)厳選し、フリーキャッシュ・フロー100億円の創出を図ってまいります。またキャッシュ・フロー創出に向けたCCCの改善強化やノンコア事業の譲渡、政策保有株式の更なる売却等を継続してまいります。
中期経営計画の財務運営方針の進捗状況
20年度計画による4か年の営業キャッシュ・フロー累計は1,216億円と目標の1,000億円を上回る見通しです。設備投資・M&Aによる投資キャッシュ・フロー累計は1,292億円とほぼ中期計画並みの見通しとなるものの、M&Aで買収した企業の有利子負債を取り込んだことからD/Eレシオは目標未達、またCCCの10日短縮も、20年度末で6日短縮にとどまる見通しとなっており、更なる改善施策を行ってまいります。
一方、ノンコア事業の譲渡・清算、政策保有株式の譲渡、グループ金融の効率化は計画以上の進捗であり、拡大する金融リスクへの対応のためにも財務の健全性に向けて取り組みを強化してまいります。
グローバル・インテグレーション(グループ経営強化の一環)として、会計・財務基準の統一を目指しており、M&Aで取得したBlommer社を含む2社を除き、3月期決算に統一致しました。
また SAPによる基幹システムの統合も当年度でBlommer社を除く連結売上高の約90%のグループ会社で導入を終えております。
これらの統合は、今後更なるグループ戦略の立案、実現に貢献するものと期待しております。
株主還元
中期計画においても株主還元・配当政策は重要な経営課題と認識しており、「配当性向30~40%」を経営目標として掲げ、安定的かつ継続的な配当を目指しております。
2019年度は通期で56円の配当を実施、コロナ禍で不透明な状況、資本の充実も経営課題ではありますが、2020年度は58円を予定しており、9期連続の増配を計画しております。
更なるステークホルダーとの対話を通して
新型コロナウィルスによる不透明な事業環境下において、投資家をはじめとしたステークホルダーの皆様に、当社の業績への影響や財政状態について正しくご理解を頂くことが最も重要と認識しております。
M&Aにより急速にグローバル化が進む中、リスクも拡大しておりますが、その対処を確実に実行するとともに、収束後の社会構造の変化も見据えた取り組みも必要と考えております。
ステークホルダーの皆様と現状のご理解とポストコロナの戦略についての対話を重ね、不二製油グループへのご提言を経営に反映し、皆様の期待に応え、責任を果たしてまいります。
以上