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パーム油のサステナブル調達

マテリアリティ

サステナブル調達

マネジメント情報

事業活動との関わり

パーム油は、東南アジアなどの熱帯地域に植生するアブラヤシから取れる油です。不二製油グループは、主にマレーシアとインドネシア産のパーム油を調達し、主原料の一つとして植物性油脂事業などで使用しています。パーム油は、ほかの植物性油脂と比べて加工しやすく単位面積当たりの収穫量が大きいため、食品から化学品まで幅広く使われており、世界の植物性油脂原料の中で最大の生産量となっています。その一方で、農園開発に起因する森林破壊や、強制労働・児童労働などの人権侵害が懸念されています。

考え方

不二製油グループは、2016年3月に「責任あるパーム油調達方針」を策定しました。本方針では、当社グループのサプライチェーンにおける全てのパーム油生産における「森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ(NDPE)」を明言しました。人々と地球環境を尊重するサプライヤーからの、責任ある方法で生産されたパーム油の調達を進めていきます。

推進体制

最高経営戦略責任者(CSO)が管掌しています。また、ESGマテリアリティ※1の一つとして、取締役会の諮問機関であるサステナビリティ委員会※2において、半期に1回進捗や成果を確認し、改善に向けて議論を行っています。

目標・実績

〇:目標に対して90%以上達成、△:目標に対して60%以上達成、×:60%未満

中長期目標 KPI 2022年度目標 2022年度実績 自己評価
2030年 2025年
森林破壊ゼロ、
泥炭地開発ゼロ、
搾取ゼロ
搾油工場までのトレーサビリティ(TTM※1):100% TTM:100% TTM:100% TTM:100%
農園までのトレーサビリティ(TTP※2 TTP:85% TTP:85% TTP:93%
N/A N/A パーム油サプライチェーンにおける森林破壊を特定、観察、検証、排除するため、衛星画像を用いた常時モニタリングの継続 衛星画像を用いた常時モニタリングを継続
労働環境改善プログラム適用率:100%
(全直接サプライヤー)
労働環境改善プログラム適用率:100%
(パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)※3の全サプライヤー)
パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)のサプライヤーへの労働環境改善プログラムの適用:36% パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)のサプライヤーへの労働環境改善プログラム適用:61%
  • ※1 traceability to mill
  • ※2 traceability to plantation
  • ※3 不⼆製油グループ本社の100%子会社の油脂製造拠点。

考察

サステナビリティ施策を進める上での最初のステップは、トレーサビリティの確保です。それにより、購入・使用するパーム油がどの地域で生産されたものなのか、どのルートで調達されているのかを把握できます。近年、パーム油を取り扱う企業の多くは、TTMやTTPなどトレーサビリティの情報だけでなく、グリーバンス(苦情処理)の進捗状況などさまざまな情報を公開しています。ステークホルダーはサプライチェーンのデータを容易に入手し、企業がサプライヤーとどの程度関わっているのかも把握できるようになりました。
不二製油グループは、TTM100%を2020年までに達成することを掲げ、2019年に達成しました。以降2022年現在までTTM100%を維持しています。
また、全てのサプライヤーに対してTTPシステムを導入しました。ディーラーからの調達を含めたサプライチェーンの複雑さ、情報の秘匿性など、今後の改善には課題もありますが、グループのTTPスコアを向上させるために、NPOのEarthworm Foundationと協業し、さまざまな関係者との連携を強化しながら取り組みを進めていきます。
また労働環境改善プログラムは、2022年半ばより、それまで休止していたサプライヤー訪問が可能になったことから目標を上回って達成しました。
パーム油産業における生産者の約30~40%を占める小規模農家では、適切な農法や環境への配慮などに関する十分な情報や対応のための資金を持ち合わせておらず、その結果引き起こされる森林破壊、土地の権利、生産に関わる労働者の権利など、取り組むべき課題は多くあります。グループとして、調達戦略を強化し、サプライチェーン改善の取り組みを継続的に実施するとともに、問題意識を持ち続けることが重要であると考えています。

  • ※ 小規模農家と搾油工場に介在し、小規模農家の土地管理サポートや搾油工場へパーム果房(FFB:Fresh Fruits Bunches)の販売をする業者。

Next Step

パーム油の持続可能な調達を実現するためには、NDPE(森林破壊ゼロ、泥炭地開発ゼロ、搾取ゼロ)に向けて、取り組みを継続することが重要です。そのために、2022年度に引き続き、以下の2023年度目標に取り組んでいきます。

  • TTM:100%
  • TTP:85%
  • パーム油のサプライチェーンにおける森林破壊を特定、監視、検証、排除するための、衛星写真による常時モニタリングの継続
  • パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)のサプライヤーへの労働環境改善プログラムの適用:70%

具体的な取り組み

責任あるパーム油調達方針達成のための課題解決アプローチ

社会課題 課題解決アプローチ 対象地域/スコープ
地球環境 衛星写真によるモニタリング インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア
「森林破壊ゼロ」に向けたエンゲージメント 当社グループのパーム油サプライチェーン
人権 労働環境改善プログラム(LTP)の適用 マレーシア
地球環境と人権 自己評価ツールの活用 当社グループのパーム油サプライチェーン
認証油の拡大 当社グループのパーム油サプライチェーン
グリーバンス(苦情処理)メカニズム 当社グループのパーム油サプライチェーン
アチェおよびサザン・セントラル・フォレスト・スパイン(SCFS)ランドスケープイニシアチブ (インドネシア)アチェ州
(マレーシア)SCFS

トレーサビリティ

パーム油生産に伴う環境・社会リスクを軽減するためには、持続可能かつ責任ある生産方法が重要です。不二製油グループは、購入している原料が責任ある方法で生産されていることを確認するために、半期に一度パーム油のトレーサビリティを検証しています。
本取り組みは、倫理的な配慮だけでなく、戦略的な事業目標に基づくものです。持続可能な調達を行うことで、ステークホルダーの期待に応え、リスクを低減し、長期的な事業継続性を確保することができます。安全で健康的な食品を提供することで持続可能な社会の実現に貢献するという当社グループのミッションとも合致するものです。
2022年度はTTM100%、TTP93%を達成しました。

TTPデータの共有に関するパーム果房(FFB:Fresh Fruits Bunches)ディーラーとのミーティング

衛星写真によるモニタリング

2020年度よりNPOのEarthqualizerと提携し、不二製油グループのサプライチェーン上で発生する森林破壊の特定、監視、検証を行っています。衛星写真による農園などの画像データは、森林破壊の特定、緩和、さらには予防に非常に有用です。月に2回受領する報告書をもとに、当社グループへの森林破壊に関連する問い合わせ全てを調査します。
問い合わせが当社グループのサプライチェーンに関連するものか否かを特定する際に、トレーサビリティデータが重要です。申し立てと当社グループのサプライチェーンとの関連性を確認した場合、関連するサプライヤーに働きかけ、さらに調査を進めていきます。グリーバンスへの対応、サプライヤーとの解決策の策定、NGOやその他のステークホルダーとのコミュニケーションなど、当社グループのサプライチェーンに対して提起された森林破壊事例には、Earthqualizerと連携して対処しています。調査結果については、少なくとも四半期に一度グリーバンスリストへ反映し、情報更新を行っています。

労働環境改善プログラム(LTP:Labour Transformation Programme)

パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)では、NPOのEarthworm Foundationと提携し、サプライチェーンの労働環境改善プログラム(Labour Transformation Programme:LTP)を2017年に開始しました。同社の全サプライヤーに対して、人権関連問題への対応をマンツーマンで支援しています。LTPは、サプライヤーが特定した労働関連問題の改善に向けた、より良い管理システムの構築を支援します。本プログラムを同社の直接サプライヤーに導入し、現在は間接サプライヤーにも拡大しています。LTPのスコープは以下の8点です。

  • 移動の自由
  • 雇用契約
  • 倫理的雇用
  • グリーバンスマネジメント(苦情処理システム)
  • 賃金および労働時間
  • 結社の自由
  • 安全衛生
  • 労働者の住居ならびに宿舎

サプライヤーとのミーティング

本プログラムは現地の工場や農園の管理者などを対象に対面式で実施され、供給拠点における人権リスクを低減するために以下の活動を行うことで、サプライヤーのキャパシティ・ビルディングを支援しています。

  • サプライヤーがコンプライアンスを遵守するための情報や支援文書の提供
  • 専任のスタッフや部署に対する具体的な研修の実施
  • 業界の要求事項に対するサプライヤーの意識啓発
  • サプライヤーの労働基準への国際基準適用の支援
  • サプライヤーにおける認証または顧客要求への対応支援

近年は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響でオンラインによる活動でしたが、2022年はサプライヤーへの訪問を再開し、対面式での活動ができました。2023年3月時点で、パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)のサプライヤー61%がLTPを導入しています。ステークホルダーにとって喫緊の課題である「搾取ゼロ」の実現に向けて、サプライチェーン全体でのLTP実施率100%を目標に、取り組みを進めていきます。

自己評価ツール

パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)では、サプライヤー評価をさらに強化するため、自己評価ツールを用いてサプライチェーンを管理しています。このツールにより、グローバルかつ効率的に、サプライヤーの状況を把握することが可能です。同時に、サプライヤーが不二製油グループの方針に沿えるよう、サプライヤーに対し提案や支援を行います。また、サプライヤーが自身の持続可能な取り組みを発信できるようになり、当社グループの「責任あるパーム油調達方針」の要求事項をどの程度満たしているかを確認することもできます。2022年の進捗は以下のとおりです。

2022年度 自己評価質問票ならびに行動計画の提出状況

パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)

  • 直接サプライヤー:提出率100%
  • 間接サプライヤー:提出率86%
  • プランテーション:8プランテーションから提出

不二製油グループ

  • 直接サプライヤー:提出率100%

今後は、サプライチェーンのNDPE進捗状況を報告するためのデュー・ディリジェンス体制を強化します。

森林破壊ゼロに向けたエンゲージメント

不二製油グループは、マレーシアにおける森林破壊や潜在的なリスクに対処するため、農園、小規模農家、搾油工場、そのほかのステークホルダーと連携しています。森林破壊のリスクをモニタリングするために、サプライヤーにおけるトレーサビリティシステムの開発または改善を支援しています。パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)のサプライチェーン上でTTP100%を維持し、森林破壊のリスクゼロを確認することで、森林破壊ゼロの達成を目指します。
2022年、半島マレーシア南部の2つのサプライヤーとのエンゲージメントを行い、エンゲージメント後に両サプライヤーの森林破壊ゼロの検証割合は40%改善しました。現在継続中のもう1社との森林破壊防止活動は、2023年の終了を目標としています。また、Earthworm Foundationと連携し、サザン・セントラル・フォレスト・スパイン(SCFS)ランドスケープ活動を通じて、TTPを向上させる取り組みを行っています。
2022年、パルマジュ エディブル オイル(マレーシア)の全サプライチェーンにおいて森林破壊への関与がないことを、衛星モニタリングによって検証しました。今後も、森林破壊ゼロのコミットメントを達成できるよう管理・維持していきます。

認証油の拡大

2022年、不二製油グループが調達するパーム油のうちRSPO※1認証油が占める割合は約58%になり、前年比17ポイント増加しました。背景にはサステナブルなパーム油に対する需要の高まりがあります。United Plantations Berhad(ユナイテッドプランテーション社)との合弁会社であるユニフジ(マレーシア)の生産能力を拡大し、市場の拡大に対応するための十分な供給量を確保することができました。
当社グループは、持続可能なパーム油生産・消費体系を構築する趣旨に賛同し2004年からRSPOに加盟しています。RSPOは、業界で広く認知されている国際的な認証基準です。RSPOはパーム油業界の7つのセクターの利害関係者を束ねるNPOで、グローバルなパーム油サプライチェーンに関するサステナブルな基準を策定し実施しています。開発された基準には、認証油を生産するために会員企業が遵守しなければならない環境・社会基準が含まれています。これらの基準が適切に適用されれば、パームの栽培が環境やパーム油生産地域のコミュニティに与える悪影響を最小限に抑えることができます。当社グループは、RSPOの新ルールである「責任の共有」を実践し、認証油の取引を年々拡大する意向です。しかし、認証油の供給が需要を上回っていることや、小規模農家が基準を遵守するのが困難であることなど、まだ改善の余地があることを認識しました。そこで、2021年からRSPOのワーキンググループに積極的に参加し、解決策について議論を行っています。
2023年4月、RSPOが公開した「The Shared Responsibility Scorecard」(共有責任スコアカード)」において、当社グループは日本企業で唯一の満点(10点)を獲得しました(1,742社中、10点満点28企業)。同スコアカードは、RSPO加盟企業により報告されたコミットメントに基づく共有責任(SR)パフォーマンスの全体像を公開するものです。
今後はマレーシアのパルマジュ エディブル オイルにおいてさらに認証油の取り扱いを増やすべく戦略的サプライヤーとの協業を深め、特に需要が高まっている欧州においてより多くの顧客の要望に対応するため取り組みを一層進めていきます※2

  • ※1 Roundtable on Sustainable Palm Oil。持続可能なパーム油のための円卓会議。
  • ※2 RSPO進捗状況

    https://rspo.org/

グリーバンス(苦情処理)メカニズム

「責任あるパーム油調達方針」を実現する目的で、2018年5月にグリーバンスメカニズムを設置しました。グリーバンスメカニズムは、ステークホルダーから不二製油グループに提起されたサプライチェーン上の環境・人権問題について、「責任あるパーム油調達方針」に基づいてEarthworm Foundationとともにサプライヤーとのエンゲージメントを行い、問題を改善する仕組みです。不二製油グループ本社のウェブサイト上のグリーバンスリストを通じて、四半期ごとに全ての苦情の進捗状況を報告しています。2022年に受理したグリーバンスは47件(環境関連43件、社会関連4件)です。
2021年度からはグリーバンスリストの四半期ごとの更新に加え、特定の顧客やステークホルダーに対し、月次のグリーバンスレポートを発行しています。この報告書では、グリーバンス事例の中でも特に注目度が高いと思われるものに関して、最新の進捗状況をお伝えしています。
グリーバンスメカニズムは専門家の協力を得ながら定期的に見直しを図り、全てのステークホルダーの懸念に対処するために必要かつ重要な情報の把握に努めています。
こうした取り組みが「責任あるパーム油調達方針」に反する疑いのある事象を公正、公平かつ透明性を持って解決していくことにつながると確信しています。

APTランドスケープイニシアチブ

インドネシア:アチェ・ランドスケープイニシアチブ

不二製油グループは、インドネシアにおける森林破壊の懸念に対処し、農作物調達に関わる生産・自然保護・適切な社会および労働慣行のバランスを保つことの実現可能性を示すため、2018年からインドネシアのアチェ地域におけるランドスケープの取り組みを支援しています。インドネシアは当社グループのサプライチェーンにとって重要な調達先であり、Earthworm Foundationと協力し、継続的に取り組んでいます。
インドネシアのスマトラ島は、世界でも最も貴重な熱帯雨林の一つであるルセルエコシステムをはじめ自然生態系の観点から重要な地域です。しかし、パーム農園開発などにより森林破壊のリスクにさらされています。このリスクを低減・是正するために、「APT(Areal Prioritas Transformasi)ランドスケープイニシアチブ」に参画しています。本プログラムは、政府、小規模農家や地域コミュニティ、パーム油サプライチェーン、企業、NGO、さらにテーマ別の専門家などが連携し、パーム農園だけでなく地域全体で改善を図る仕組みです。2021年には、インドネシア最北端のアチェ州の約70%を占める約390万haの広大な地域に、このプログラムの範囲を拡大しました。この地域は、ルセルエコシステムを中心に12の県にまたがっています。2022年の活動は以下のとおりです。

コミュニティでの森林保護アプローチやパーム農園の管理についての研修

  • 13のステークホルダーがスブルサラム地区の持続可能なパーム油に関する地域行動計画の策定に参加、計画を実施
  • 23社に対するHCV(High Conservation Value:高保護価値)-HCS(High Carbon Stock:高炭素貯蔵)管理に関する研修の実施ならびに2社に対するHCV/HCSアセスメントの実施(2022年12月時点)
  • 6つの村で33,481.67haの森林保護
  • 8つの村で9,498.76haの土地に関する参加型マッピングと土地所有権調査プロセスの完了
  • ランドスケープ・プロジェクトの開始から2022年までに、740名の農家に対し研修実施ならびに2つの農民ビジネスユニット(FBU:Farmer's Business Units)による代替生計活動の支援
  • 4社(雇用者合計約900名)に対する労働者の権利向上のための支援実施
マレーシア:サザン・セントラル・フォレスト・スパイン(SCFS)ランドスケープ

不二製油グループは2022年から、半島マレーシアに位置する当社の主要なパーム油調達地域のサザン・セントラル・フォレスト・スパイン(SCFS)においても、ランドスケープのプログラムに参画しました。SCFSランドスケープにおけるパーム油サプライチェーンは相互に関連しており、FFBディーラーとの協働によるTTPの達成、労働慣行の改善、パーム油農園周辺での人間と野生動物の共存など、ランドスケープ内の複数のステークホルダーと連携して取り組みを進めることが重要です。2022年の進捗は以下のとおりです。

  • 対象地域の工場の26%でのTTP100%達成
  • 高保護地域での企業やコミュニティによる森林破壊67%減少
  • プロジェクト開始以来2022年までに、206の小規模農家に対するキャパシティ・ビルディングの実施
  • 31社に対する強制労働と児童労働に関する研修の実施

NGO・業界との協働

①マレーシア・サバ州での小規模農家支援活動

不二製油グループは、マレーシアの社会的企業Wild AsiaのWild Asia Group Scheme(WAGS)に2016年1月から参画し、サバ州(マレーシア東部)での認証プロジェクトとWAGS BIO(環境再生型農業)プロジェクトを支援しています。WAGSは農法の改善および国際的基準への準拠を支援することで、パーム油の小規模農家が直面する課題解決に取り組んでいます。
認証プロジェクトでは、RSPOとMSPO(The Malaysian Sustainable Palm Oil)の認証を取得するためのトレーニングを農家へ提供しています。2022年3月のRSPO監査では、229軒のWAGS参画農家が認証を取得しました。WAGSフィールドチームは新たに認証取得を目指す農家へのトレーニングだけでなく、農家の認証維持も継続的に支援しています。2016年1月の参画以降、当社グループがWAGSを通して認証取得を支援した小規模農家の累計は908軒にのぼります(2023年5月時点)。
WAGS BIOプロジェクトでは、アブラヤシ農園で環境再生型農業の実践トレーニングを提供し、生物多様性への負の影響の抑制や、農園地域の自然生態系の保全・回復とともに、小規模農家の収益向上も目指しています。2022年度も引き続き、農家への有機農法トレーニング、生姜など換金作物の間作を支援しました。WAGSのパートナーシップ拡充もあり、新たに50軒と大幅に増加し、「無農薬農法の適用」などのWild Asiaの基準を満たす「BIO農家」は計70軒に達しました(2023年5月時点)。また、アブラヤシの葉からバイオ炭を作る取り組みを試験的に実施し、生成したバイオ炭を一部の農園に散布しました。バイオ炭の散布により、土壌改良だけでなく炭素が土中に貯留され、気候変動の緩和への効果が期待できます。

②The Consumer Goods Forum Japan Sustainability Local Group パーム油ワーキンググループ

不二製油グループは、消費財の国際的な業界団体であるThe Consumer Goods Forum(TCGF)のJapan Sustainability Local Groupの一つである「パーム油ワーキンググループ」に、2017年度の設立当初から参画しています。

③Japan Sustainable Palm Oil Network

不二製油グループ本社は、持続可能なパーム油の調達と消費を日本の産業界全体に促す趣旨に賛同し、2019年10月よりJapan Sustainable Palm Oil Networkに正会員として加盟しています。

④Palm Oil Collaboration Group

不二製油グループ本社は、NDPEへの実効性のある行動を加速することを目的としたパーム油サプライチェーンに関わる企業団体であるPalm Oil Collaboration Group(POCG)に2020年6月から参画し、人権問題について協議・解決するための「社会課題ワーキンググループ」のメンバーとして活動しています。2022年度には企業の採用問題を管理・軽減するためのガイドラインを策定しました。今後優先する取り組みとして下記が挙げられます。

  • マネジメントシステムにおける人権デュー・ディリジェンス
  • 外国人労働者が多く占めるマレーシアのパーム油産業における責任ある採用活動
  • 先住民および地域コミュニティの権利

今後もワーキンググループに参加・貢献し、NDPEに向けた効果的なソリューションの開発を目指します。

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