サステナビリティ
リスクマネジメント
- CONTENTS LIST
- 実効性のあるリスクマネジメント
- 企業統治体制の構築
実効性のあるリスクマネジメント
実効性のあるリスクマネジメント
考え方 |
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不二製油グループにおいて、リスクマネジメント*は経営戦略の実践そのものです。食を通じて社会に貢献し続けるために、事業継続の観点、また法律や株主・投資家など社会の期待・要請に応える観点から、欠かせないものであると考えています。リスクマネジメントを推進することによって、社会からの信頼を獲得する「高信頼性企業の実現」を目指します。 *リスクマネジメント:企業経営に関わるリスクの発生予防に努めるとともに、リスクが実際に発生した時の損失・影響度を最小限にとどめ、経営の目標・計画を達成すること |
不二製油グループにおけるリスクマネジメントの位置づけ ![]() |
推進体制
推進体制
不二製油グループ本社では、リスクマネジメントの責任者をCFO、責任機関を取締役の諮問機関であるESG委員会の「ガバナンス分科会」としています。
ESG委員会において、リスクマネジメントに関する報告や検討が行われます。そして、ESG委員会を通じて取締役会に定期的にリスクマネジメントに関する不二製油グループの状況が報告され、経営陣の関与を得ながらリスクマネジメントを推進しています。
教育・啓発活動
グループ各社への定期的な訪問・テレビ会議などにより、リスクマネジメントに関する教育・啓発活動を実施し、グループ各社におけるリスクマネジメントのPDCA活動の定着化と質の向上を図っています。また、新任の海外赴任者を対象とした海外赴任前研修において、リスクマネジメントの基礎、不二製油グループのリスクマネジメントシステムについて教育を行っています。
- トピックス「従業員へのインセンティブ」
- 事業活動を通じて社会に貢献する優れた取り組みを行った部門・グループ会社を評価する目的で、2016年以降、表彰制度「経営賞」の中に「CSRの部」を設けています。この「CSRの部」において、リスクマネジメントを効果的に行うことで社会的責任を果たしたグループ会社・部門を表彰しています。
目標
- 2020年にグループ本社制のもと、グループ各社による自主・自立的なリスクマネジメントPDCA推進がなされており、不二製油グループ本社の各職能が全体最適な各社リスク対応のサポートを行っている状態。
- 2020年に主要グループ会社においてBCPの策定が完了している状態。
進捗
- グループ各社との半期ごとのリスクマネジメントPDCA会議を実施し、グループ各社におけるリスクアセスメント結果の質が向上しました。
- 環境(気候変動)リスク、人権リスク、地域特有リスクについて、グループ各社のリスクマネジメント委員会に対して情報提供を行いました。
- 日本の事業所を対象に、安否確認訓練などを行い、緊急事態(大規模災害など)における対応力強化を図りました。
不二製油グループのリスクマネジメントシステム
PDCA
不二製油グループでは、2015年10月に移行したグループ本社制に対応した、グローバルなリスクマネジメントシステムを構築しています。
具体的には、当社、地域統括(代表)会社、各グループ会社に対して、それぞれの役割を明確にし、グループ各社にリスクマネジメント委員会を設置しています。このリスクマネジメント委員会が主体となって、「リスクの洗い出しと重要リスクの選定⇒リスク対策実施⇒チェック⇒次年度計画のレベルアップ」のPDCAを1年ごとに回し、不二製油グループ本社、地域統括(代表)会社、各グループ会社間で連携を取りながら、リスクマネジメントを推進しています。
緊急時においては、平時のリスクマネジメント委員会を母体に 「緊急対策本部」を立ち上げ、グループとして迅速かつ適切に対応できるシステムを構築しています。
不二製油グループのリスクマネジメント

リスクアセスメント手法
グループ各社のリスクマネジメント委員会が主体となり、自社のリスクを可能な限り洗い出し、リスクマップ(縦軸:自社への損失・影響度、横軸:発生可能性)にマッピングすることで評価します。評価の結果、自社にとって損失・影響度が大きいリスクを「重要リスク」として特定し、すべての「重要リスク」に対して対応方法を決定しています。このプロセスにより、自社が優先的に管理すべきリスクを明確にしたリスク管理を行い、リスク予防、リスク発生時の損失最小化、事業継続を図っています。
具体的なリスクへの対応
気候変動リスク
気候変動リスクについては、「環境」ページの「気候変動」をご参照ください。
BCP
考え方
不二製油グループでは、グループ憲法のビジョンにおいて「おいしさと健康で社会に貢献する」、バリューにおいて「人のために働く」を掲げています。これらの実現には事業継続が前提条件であり、そのためにBCPは欠かせないものであると考えています。従業員の安全確保および事業資産の損害を最小限にとどめ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするため、以下基本方針のもとにBCPを推進していきます。
- 従業員・来客の人命を最優先する。
- 二次災害を防止し、地域に迷惑をかけない。
- 企業としての供給責任を果たす。
取り組み
大規模災害を想定した事業継続計画(BCP)*1の見直し
不二製油(株)では、2012年に策定したBCPをより実効性のあるものとすべく、見直しおよび再構築を進めています。見直しについては、2018年度中に完了する予定です。
自然災害発生時の情報システムの継続性確保(ICT-BCP)
自然災害等発生時、事業継続の根幹となるのが情報システムです。不二製油グループでは、基幹システムをはじめとする重要な業務システムを堅牢なデータセンターに設置しています。さらに、データセンターが被災した場合を想定して、遠隔地にDRサイト*2を構築することで、業務システムの継続を実現しています。これにより、データセンターが被災した場合でも、数時間~半日以内にはDRサイトにて業務を再開することが可能です。また、DRサイト切り替え訓練を年1回実施することで、災害発生時の迅速な対応に備えています。
気候変動による調達リスクへの対応・大規模災害による調達リスクへの対応については、「サステナブル調達」をご覧ください。
https://www.fujioilholdings.com/csr/sustainable/
*1 BCP:Business Continuity Planningの略
*2 DRサイト:Disaster Recovery サイトの略
情報セキュリティ
考え方
不二製油グループでは、情報セキュリティを確保するため、ルールと技術の両面から、セキュリティレベルの向上に取り組んでいます。ルール面に関しては、グループ方針として、情報管理基本規程ならびに情報セキュリティ規程を策定しています。今後も、ルールの周知徹底に向けた従業員教育を継続して行います。技術面に関しては、外部からの不正アクセスを防御する仕組みやコンピュータウイルスを防御する仕組みなど、多層的な対策を講じています。今後も、情報セキュリティレベルの検証・確認・向上を継続していきます。
情報セキュリティ管理の体制
不二製油グループでは、情報セキュリティに対する脅威に対して、取締役会の諮問機関であるESG委員会の「ガバナンス分科会」のもと、情報セキュリティマネジメント体制を構築しています。情報セキュリティマネジメントについては、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置し情報セキュリティ責任者を配置して、有事の際の対応迅速化と、情報漏洩事故や標的型メール攻撃、ウイルス感染のリスクに対する従業員の啓発を進めています。
従業員への情報セキュリティ教育
2017年度は、情報セキュリティについての新入社員教育、海外赴任者教育に加え、不二製油グループ本社ならびに不二製油(株)に対する標的型攻撃メールの訓練を実施しました。今後も教育・研修および訓練などを通じ、従業員の情報セキュリティのリテラシー向上を図ります。
知的財産保護
知的財産権の取得と他社権利侵害を防ぐ体制の構築
不二製油グループでは、「不二製油グループ憲法」に基づき、「社内発明等取扱規程」および「不二製油グループ知的財産管理規程」の中で、従業員の職務に基づく発明等の取り扱いなどを定め、発明等を特許等として権利化するとともに、技術ノウハウなどの秘密管理性を保つ厳格な管理により、知的財産を保護しています。あわせて、他社の知的財産権を侵害することのないよう、特許等の情報を日常的に監視しています。
教育活動
不二製油(株)では、知的財産に関する正しい理解を浸透させることを目的に、従業員に対する教育を随時実施しています。2017年度は、入社6カ月後の研究開発職の新入社員を対象とした知的財産研修を2月に実施し、知的財産権の概要や意義、社内発明等取扱規程の内容について説明して、知的財産に関する基礎知識の浸透を図りました。また、17年8月~10月に開催した知財研修では、開発部門の中堅社員を対象に、知的財産制度に関する復習と、特許明細書の作成を通じた実践的な知財教育を実施しました。
企業統治体制の構築
考え方 |
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不二製油グループ本社は、実効的なコーポレートガバナンスの実現を通じて、法令違反、不正や不祥事などの企業価値を毀損するような事態の発生を防止し、かつ、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を図ることを目指します。株主、顧客、その他取引先、当社役職員および社会などのステークホルダーの期待に応え、透明、公正かつ迅速果断な意思決定を行うための重要な仕組みとしてコーポレートガバナンスを位置づけています。 |
目標
- 2020年時点で、グループ各社において内部統制プロセスが定着化し、業務効率化やロス発生抑制のための仕組みが構築、整備されている状態。
進捗(目標に向けた取り組み)
- 前年度に実施した取締役会実効性評価(第三者機関によるインタビュー調査含む)の結果を踏まえ、あるべき姿に向けて改善活動を計画的に実施しました。
具体的な取り組み
グループ本社制とグループ憲法
グループ本社制
不二製油グループは2015年10月1日より、経営体制を純粋持株会社によるグループ本社制を採用しています。戦略機能を強化し、持続的成長と収益力の向上を図っています。
不二製油グループ経営体制図(2018年6月現在)

グループ本社制の目的
1. ガバナンスの強化
社員の国籍も多岐にわたるようになり、遠心力が働いていく中、不二製油グループ本社を中心にガバナンスを強化します。
2. グループ戦略機能の強化
不二製油グループ本社を中心にグループ全体が持続的に繁栄していくための戦略、特にグローバル戦略を講じます。
3. 人づくり
戦略を考えるのも統制を効かせるのも人です。グローバルで人材を採用し、グループ全体での最適な配分のもとで育成していくことが重要であり、人材の評価、働き方についても変革します。
4. 新規事業の創出
「2030年のありたい姿」の実現に向け、M&Aを含めた事業拡大戦略や、技術イノベーションを起こし、新規事業の創出を図る成長戦略を実行します。
「不二製油グループ憲法」の制定
「不二製油グループ憲法」とは、不二製油グループが創業時のDNAを継承し、社会的責任を果たしつつ、持続的に成長していくため、グループ各社の役員および従業員が従うべき行動の原理原則を示したものです。2015年10月1日、グループ本社制への移行とともに制定し、グループ経営の求心力となっています。
「不二製油グループ憲法」についての詳細は下記ウェブサイトをご覧ください。
コーポレートガバナンスの機能
コーポレートガバナンス体制図(2018年6月22日現在)

取締役会
取締役会規則のもと、原則月1回開催される「取締役会」および、必要に応じ「臨時取締役会」を適宜開催しています。法令に定められた事項および重要事項の審議、決議がなされるとともに取締役の職務執行状況を報告しています。
監査役会
監査役会は、監査方針および監査計画を協議決定し、監査に関する重要な事項等の報告・決議・決定を行っています。常勤監査役2名、社外監査役2名の計4名で構成され、第90期(2017年4月1日~2018年3月31日)は12回開催されました。
指名報酬委員会
役員選任および役員報酬決定のプロセスの透明化を図るため、取締役会の諮問機関として「指名・報酬諮問委員会」を2015年10月に設置しました。2018年6月21日現在、社外取締役である三品和広氏が委員長で、社外取締役である上野祐子氏、代表取締役社長の計3名の委員にて同諮問委員会を構成しています。なお、第90期(2017年4月1日~2018年3月31日)は計7回開催いたしました。
ESG委員会(メンバーと開催回数)
ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する活動を加速・推進するために、取締役会の諮問機関として「ESG委員会」を2015年10月に設置しました。「安全・品質・環境」「人づくり」「サステナブル調達」「ガバナンス」「食の創造によるソリューション」の分科会を設け各々の分野における重要課題を協議し、取締役会に提言・具申しています。2018年6月21日現在、ガバナンス担当の取締役を委員長に、取締役執行役員CSO、取締役執行役員CQO、各分科会責任者および社外アドバイザー1名にて構成しています。第90期(2017年4月1日~2018年3月31日)は計5回開催いたしました。
取締役候補者選定の考え方
取締役候補者については、社内外を問わず、人格や知見に優れた者を選定しています。社外取締役については、会社経営、経営戦略等の専門的分野で優れた知見を有する方を選定し、さまざまな観点から不二製油グループ本社の経営戦略の策定や業務執行の監督に参画していただくことで、当社の企業価値の向上に寄与していただいています。
取締役会の実効性分析と評価の結果
取締役会の客観性をより高め、さらなるガバナンスの向上を図ることを目的として、2017年度の取締役会の実効性評価を実施しました。
1. 評価の概要
- 対象:取締役および監査役全員(計12名、うち社外役員4名)
- 評価プロセス:第三者機関による事前アンケートおよびインタビューならびに匿名性を担保した結果の分析
2. 質問項目
- 1. 取締役の構成と体制 2. 取締役会の運営と実務 3. 取締役会の審議事項 4. 取締役会の監督機能
- 5. 監査役による取締役会の監督機能 6. 取締役会での関与の状況 7. 株主の意見尊重
3. 評価結果
今回、第三者機関が関与した取締役会評価を通じて、(a)ガバナンス改善への積極的な取り組み、(b)社長のリーダーシップと社外取締役の知見による取締役会の活性化、(c)社外役員を尊重する文化と取締役会における自由闊達な議論が行われていることが確認できました。
一方で、今後の改善・機能向上が見込まれる点としては、(a)持株会社の取締役会としての監督機能の強化、(b)指名・報酬諮問委員会の役割の明確化とさらなる機能向上、(c)取締役会のダイバーシティ強化などが確認されました。
今後の方針として、今回の取締役会の実効性評価に関する第三者機関からの報告書に基づき、2018年度取締役会において評価結果に掲げた課題について、アクションプランの策定に取りかかるとの結論となりました。また、中長期的な課題については引き続き取締役会の中で議論していくことといたしました。不二製油グループ本社取締役会は、取締役会のさらなる機能向上を図るべく今後も継続的に取締役会の実効性評価を行っていく予定です。
役員報酬
2017年度における取締役および監査役に対する役員報酬等の総額は以下の通りです。
区分 | 役員報酬等の総額 |
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取締役 (社外取締役含む) | 295百万円 |
監査役 (社外監査役含む) | 64百万円 |
合計 (社外取締役・社外監査役) |
360百万円 (41百万円) |
*1 上記には第89回定時株主総会終結の時をもって退任した取締役4名および監査役1名に対する報酬を含んでいます。
*2 上記には2017年度に係る役員賞与を含んでいます。
*3 上記取締役の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。