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ESG担当役員メッセージ

サステナビリティの深化を成長エンジンに

地政学リスクによるサプライチェーンの分断や資源の高騰など、不透明な社会情勢が継続する中、気候変動や生物多様性、人権尊重に関する国際的な議論が加速し、各国・地域の規制やソフトローも強化されています。持続可能な社会を目指す動きは年々活発化しており、生活者が企業を見る目にも変化がでてきています。

不二製油グループの事業活動は、健全な生態系とそこからもたらされる自然資源ならびに、多様なステークホルダーによって支えられています。創業当時から、地球と人の健康と食の歓びを目指し、日本から世界に向けて食の素材の可能性を追求してまいりました。先行き不透明な時代において、いかにして持続可能な社会への転換に貢献できるか。当社グループは、多種多様な社会課題に真っ向から向き合い、ステークホルダーの変化へ素早く対応してまいります。さらにはその先を見据えながら新たな価値を共創していくことを成長エンジンとし、サステナブルな食のバリューチェーンを構築し、おいしさと健康を提供し続けてまいります。これらの使命を中長期で注力していくため、2023年度からは、サステナビリティ委員会に事業部門長も参加し、事業戦略とサステナビリティの連動性をより一層高める推進体制へ進化させました。

2022年度の主な取り組みをご紹介します。
サステナブルな食資源の創造では、食肉・乳・卵の代替となる植物性タンパク素材の開発を進めました。植物性素材を原材料とするPlant-Based Foodの普及拡大の課題である「おいしさ」にこだわり、肉本来の満足感を表現した大豆ミートや乳不使用チョコレートを上市しました。eコマースの展開やSNSで生活者との接点を増やし、Plant-Based Foodへのアクセスを高めることで食シーンの多様化を推進しています。

サステナブル調達においては、サプライヤーやNPO、顧客とともに2030年目標に向けて取り組みを進めています。パーム油やシアカーネルでは農園までのトレーサビリティが大きく進展し、パーム油サプライヤーへの労働環境改善プログラム適用も進みました。カカオでは順調にCLMRS(児童労働監視改善システム)が運用され、直接調達するサプライチェーンの全農家に導入しました。また、約6万本の苗木を提供し、2030年までに計100万本を植樹してまいります。大豆ではサプライヤーのセルフアセスメントが完了し、アセスメント結果に基づく改善計画を策定しました。

環境に関しては、2023年3月に不二製油グループ生物多様性方針を制定し、生物多様性の保全と回復に関する包括的な行動指針を定めました。気候変動への対応では、日本でのインターナルカーボンプライシングのテスト導入、サプライヤーエンゲージメントも開始しました。水資源に関しては、グループ全体での削減活動が実を結び、2030年目標を前倒しで達成しました。TCFDでは、気候変動によるリスク・機会ごとに発現時期、影響期間、財務影響度を記載し、開示の内容を充実させました。こうした活動が認められ、環境非営利団体CDPの調査では水セキュリティおよび森林分野でA、気候変動でA-の評価をいただきました。

人権への取り組みにおいては、グループ人権方針にのっとり人権尊重に関する具体的な取り組み方をまとめた「人権ガイドライン」を2023年3月に制定し、人権リスクマネジメントを強化しています。人材に関しては、各エリア特有の課題に応じたDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を実践し、組織の風土改革を推進しています。また、価値創出の源泉である優秀な人材確保と能力育成の重要性から、2023年度より「人材確保・育成」をESGマテリアリティに加えました。

不二製油グループのミッションは、食の可能性を追求し、食の歓びと健康へ貢献し続けることです。世界各地のステークホルダーの皆様とともに、サステナブルな食の未来の課題解決に向けたソリューションを共創し、新たな価値創造に取り組んでまいります。

不二製油グループ本社株式会社
取締役 上席執行役員 CTO兼ESG担当

門田 隆司