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ニュースリリース

お知らせ

不二製油グループ本社

責任あるパーム油調達に関する取組み状況について

2018年6月8日

1. 趣旨

不二製油グループ本社株式会社は、2016年3月に「責任あるパーム油調達方針」(以下:調達方針)を策定・公表いたしました。この調達方針は、当社グループのパーム油サプライチェーンにおけるNDPE(No Deforestation, No Peat ,No Exploitation)を目指すことを約束するものです。本レポートでは、前回レポート(2017年11月)以降の、調達方針を推進するための取組みの進捗を報告いたします。

2. 進捗

(1)トレーサビリティ
当社グループでは、サプライチェーンを把握し改善するために、トレーサビリティの把握に取り組んでいます。2020年までに搾油工場までの完全なトレーサビリティの達成を目指しています。
2017年7月-12月の期間において、不二製油グループ全体で95%のパーム関連のトレーサビリティスコアを達成しました。このスコアは、パーム油のスコア96%とパーム核油のスコア94%を合わせたものです。


搾油工場までのトレーサビリティスコア(%)
  2017年7月~12月 2017年1月~6月 2016年7月~12月 2016年1月~6月
パーム油 96 96 93 93
パーム核油 94 97 96 98
合計 95 96 94 94


スコアは地域によって異なりますが、前期(2017年1月-2017年6月)に比べ、当社グループとしてのパーム油の調達スコアの一貫性は維持されています。
これは、不二製油グループの全てのパーム油調達地域において、主にサプライヤーとのコミュニケーション強化を持続的に行った結果であると考えられます。しかしながら、上記期間における、パーム核油の調達スコアはわずかに下がっています。
不二製油グループは、自社の責任あるパーム油調達方針で表明するように、サプライチェーンの透明性を完全に約束しています。
引き続き、当社グループはサプライヤーとのエンゲージメントを強化し、トレーサビリティのスコア向上に努めます。


※結果に関する留意事項
トレーサビリティスコアは、データの可用性、調達先の変更、時間の経過あるいはその他の問題に伴い変動する場合があります。
すべてのトレーサビリティの数値は、サプライヤーによって自己開示された情報に基づきます。オイルミルのGPS座標については、当社が直接保有する情報だけではなく、パートナーである国際的な非営利団体のTFT(The Forest Trust)が保有する情報を使用しております。
また、一部のオイルミルデータに関して、TFTと当社のサプライヤーの間で秘密保持契約を締結しており、現在当社がこのデータを保有する計画を進めております。



(2)サプライチェーン改善活動-パームオイルミル- ART(Aggregator Refinery Transformation)計画
当社グループは2016年7月から、TFTと協力して「責任あるパーム油調達方針」を推進しています。方針を推進する戦略の1つとして、パルマジュ エディブル オイル社(マレーシアに所在する当社グループの一次精製会社、以下パルマジュ社)のサプライヤー(Crude Palm Oil(CPO)/Palm Karnel Oil(PKO))に対してART計画に着手しています。
進捗記事は下記のURLからご覧いただけます。
http://www.tft-earth.org/stories/blog/fuji-oil-bringing-change-malaysian-palm-oil/

<図1:ART計画の全体像>
<図1:ART計画の全体像>

上記<図1>の通り、2017年11月現在、「①A社との改善活動」と「②A社以外のサプライヤーとの改善活動」の2種類の活動を行っています。


①A社との改善活動
2017年11月27日の前回の進捗レポートでも報告しました通り、A社と行った改善活動は以下のような成果をもたらしています。

・A社における搾取ゼロ方針の策定と実施
・A社における苦情処理手順の実施
・A社における採用管理規則の実施
・A社における外国人労働者のパスポートの返却手順・計画の策定と実施
・A社における全労働者への雇用契約書のコピーの配布、労働者が契約書の内容を理解する為の説明会の実施

詳しくは、下記の映像をご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=sUWBgu07Tp8


A社によって示された進捗とコミットメントが優れていることから、不二製油の「責任あるパーム油調達方針」に対しての進捗と成果を共有する為に、A社は「パイオニアフォーラム」に招待されました。
「パイオニアフォーラム」は当社のパートナーであるTFTが開催し、先駆的な企業に対し、現場における良い取り組みを共有する場を提供するものです。当社グループは、A社が業界を代表して、このパイオニアフォーラムに招待されたことを誇りに思います。

詳しくは、下記のURLをご覧ください。
https://sway.com/pLEOS156F4OgnrC7


②A社以外のサプライヤーとの改善活動
当社グループはA社との改善活動から得られた知見や経験をもとに、昨年、模範的な搾油工場や、農園、小規模農家のあり方を、広範なサプライヤーに共有するために、さらなる一歩を踏み出しました。
2018年4月に、当社はA社以外のサプライヤーに対して、セミナーを開催しました。
セミナーでは、当社の調達方針の目標を再度示し、サプライヤーに対して「Tools for Transformation-Self Assessment」(T4T セルフアセスメント)という、TFTが開発したオンラインシステムを使用するよう要請しました。セミナーに参加したサプライヤーは、NDPE(No Deforestation, No Peat, No exploitation)について理解を深めて頂きました。
T4T セルフアセスメントは、パーム油のサプライヤーが、自己評価を行い、当社の「責任あるパーム油調達方針」の要件(No Deforestation, No Peat, No exploitation)対する現状を把握することを手助けする為のツールです。
T4T セルフアセスメントは質問書を送り、サプライヤーに回答してもらうことによって、当社の「責任あるパーム油調達方針」に対するサプライヤーの現状を把握することができる当社グループとサプライヤーの両者にとって役立つツールです。
このシステムは、A社を含むすべてのパルマジュ エディブル オイル社のサプライヤーに適用されます。



(3)方針実行のためのエンゲージメント(EPI:Engagement for Policy Implementation)
「責任あるパーム油調達方針」実行に向けたサプライチェーンの進捗を把握するために、EPIを用いて、不二製油グループはオイルミル以外にもサプライヤー(この場合は精製所)とのエンゲージメントを約束しています。EPIは、サプライヤーの調達方針と当社グループの調達方針との間でどのようなギャップがあるのかを把握するためのプロセスです。EPIは、責任ある調達方針を実行する上で重要だと考えられる項目をカバーしています。
現在、不二製油グループは、すべてのサプライヤーに対して質問書を送付し、このEPIプロセスを開始いたしました。当社グループはサプライヤーに対して、透明性と正確性をもって回答するよう要請しています。調達方針実現に向けた過程にあるサプライヤーの進捗を支援するために、当社グループが課題を特定し取り組むことが、彼らの透明性と正確性のある回答によって可能となります。EPI質問書に対するサプライヤーからの最初の回答に基づいて、支援を行います。



(4)小規模農家支援
パーム油小規模農家の課題は、ノウハウ不足により持続可能な農園運営が難しいことです。当社グループは2016年1月から、NGOのWild Asiaおよびサプライヤーと連携して、マレーシアのサバ州キナバタンガン地域の小規模農家の支援活動を行っています。当社グループは、今後もWild Asiaおよびサプライヤーの支援を継続して参ります。



(5)グリーバンス(苦情処理)メカニズム
当社グループは、NDPEの方針を実現する為に、2018年5月に当社グループのグリーバンスメカニズムを構築・公表しました。
グリーバンスの手順やリストは、当社グループのサステナビリティウェブサイトからご覧いただけます。
https://www.fujioilholdings.com/en/csr/grievance_mechanism/




3. 今後の取り組み

当社グループはパートナーと協力し、引き続き「責任ある調達方針」の実行に努めます。
ART計画を継続するとともに、さらに多くのサプライヤーとエンゲージメントができるように、T4T セルフアセスメントの導入を進めます。このツールは、アンケート結果に基づいた、サプライヤーとの効果的なエンゲージメントを促進します。私たちはT4Tセルフアセスメントを2018年上半期に、当該サプライヤーへ配布することを計画しています。
さらに、当社グループは公表したグリーバンスの手順を通じて、提起されたすべてのグリーバンスを管理・モニタリングしてまいります。当社グループに提起されたすべてのグリーバンスは、調査・承認後、グリーバンスリストに記載します。
更に、サプライチェーンの透明性を高めるために、2018年6月に、当社グループのサステナビリティウェブサイト上にて当社グループのミルリストを公表する予定です。
当社グループは、引き続きトレーサビリティレポートを半年ごとに更新します。
次回の進捗レポートは、持続可能なパーム油についての活動を加えて2018年11月に公開する予定です。



以上